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第37回1000字小説バトル Entry24

普通のラーメン

   『味が変わった…』

ここ数年気に入って通っていたラーメン屋で、私はふと思った。

私はラーメン通とまではいかないが、たまたまお昼に入ったラーメン屋が
おいしくて気に入ったというありがちなパターンだ。


いつも私はノーマルなラーメンを注文する。
いろいろ試したが、普通のラーメンのほうが安いし、私に合っている。
普通といってもここのラーメンはうまい。
いつかどこかで食べたような、懐かしい味がする。

いつものようにカウンターに出されたラーメンを
まず麺だけ口に運ぶ。
そこで何かが違う と、初めてわかったのだ。

甘味 というのか、コクがないのだ。
ただの塩辛いだけのラーメンが、私の前に出されたのだ。
私はもう一度、麺を口に運んでみた。

やはり違う。
よくみるとネギが切れていないのだ! 
上部だけ切れて、あとは繋がっている。
しかも麺まで… ゆでが足りず、さっきまで入っていた袋の形が残っている。
さすがにこれには落胆した。

しかし私のようなサラリーマンに、文句をつけるようないわれもない。
『もうここに来ることは無いだろう』
と、密かに思い、残りの塩辛いだけのラーメンを口に運んだ。

そのときだった。
少し離れたところに座っていた女子高生が店員を呼び止めた。

「いつものラーメンと、なんか味違くありません?」

『やはりそうか。意見が合うこともあるんだな…』

「えっ、そうですか?特に…味は変えていないんですけれど…」
店員は驚いてる様子だった。

「ラーメンって、返品できますか?できるんだったら、私します」
「えっ、お客さま!?」
「あなたも1回食べてみたらどうですか?私、けっこうこの店好きなのに」
「そう言われましても… 少々おまちください!」
店員は中へと消えて行き、店長をつれてきた。

「お客様、なにかご要望ですか?」
恐そうなオヤジだった。しかし女子高生はひるまなかった。

「ちゃんと味見してるんですか?今日のラーメン、おいしくない!」
『うわぁ、言うもんだなぁ〜』
「まずかったら帰りナ姉ちゃん」
店長は小声で女子高生に言った。
『いいのか!?ますますこの店嫌になってきた』
「言われなくても帰るし。ただ他のお客さんの為にも、味見しろっつってんだよ」
「何ぃ!?」

私は我慢できなくなって席を立った。
「すいません、会計おねがいします」
丼にはまだメンマが残っていたのに…
私は420円を払って店を出た。



そういえば4丁目にラーメン屋があるな…
明日行ってみよう。

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