第38回1000字小説バトル Entry11
今日も疲れた。時給750円のコンビニのバイトを週6日、汗水垂らして働いている。もし、大学に受かっていたら、今頃は楽しいキャンバスライフを満喫していたんだろう。フリーター暮らしっていうのも、気楽でいいんだけどさ。
そんな事ばかり考えながら、家へと帰ると一通の封筒が届いていた。宛て名には、汚い文字で俺の名前が書いてある。恐る恐る封を開けてみると、そこには汚い文字で書かれた手紙が入っていた。
ぜんりゃく、10年後のぼくへ
これは、俺が書いたのか?
そういえば、小学生の頃こんなものを書いた記憶がある。すっかり忘れていたけれど、担任の金子先生は覚えていて、みんなにあの時の手紙を送ってくれたのだろう。あの時の俺は何を書いたんだ。
元気ですか? ぼくは元気です。かぜにならないように注意してください。20才のぼくは、なにをしていますか? 野球せんしゅになっていますか?
や、野球選手って……。そういえば、少年時代は野球ばかりやっていた。将来は、絶対に野球選手なっているんだと思っていた。野球を最後にやったのはいつだろう。遠い昔のような気がする。
けんた君とは、今もあそんでいますか? けんた君とは、いつまでもなかよくしていたいです。けんた君によろしく言ってください。
けんた君? 矢島健太の事か……。あの頃は、いつもあいつと一緒に遊んでいたな。中学を卒業して以来、一回も会っていない。友達なんてそんなものだ。あいつも俺の事なんて、忘れてしまっているだろう。
なにをやっているかはわからないけれど、いっしょうけんめいでがんばってください。たくさんたくさん、笑ってくらしてください。おもしろい思い出でいっぱいにしてください。
一生懸命か。笑って暮らしてくださいか。あの頃の俺が、今の俺を見たらどう感じるのだろう。ガッカリするのかな。俺は、一体なにがしたかったんだっけな。
リーン、リーン、リーン
電話か。こんな時間に誰だよ、まったく。
もしもし。えっ!? 矢島って、もしかして健太か? 懐かしいなぁ〜。
ああ、俺の所にも手紙来たよ。汚い字で読みづらいよ、まったく。
おう、俺もお前の事が書いてあった。よろしく言ってくれってさ。
本当に久しぶりだよな、今何しているんだ?
K大学に行っているのか!? すげぇなぁ〜。
えっ!? 俺か? 俺は……。
一生懸命頑張っているよ