第2回 耐久3000字バトル 第6回・最終戦

エントリ 作品 作者 文字数
1紙折りの富子さん 5ごんぱち3000
2蛍 (後編) 〜2006年 夏〜3000
3修羅の国から Vol.6国津武士3000
4憂心しろくま3106
5
6サンキュウ石川順一3014



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  エントリ1 紙折りの富子さん 5   ごんぱち


 森の中の術式実行拠点では、放射状に木が薙ぎ倒され、多数の術者が昏倒していた。
「晴栄様」
 術者の一人が晴栄に声をかけ、それから、空を見上げる。
「ええ」
 晴栄も空を見上げる。
「大成功……です」
 空に浮かぶ細い月の、闇の部分に僅かな光点が見え、そして、消えて行った。
「これより第二任務に入る! 悪霊を一体たりとも増やさず、怨霊会の発生を確実に阻止せよ!」
 晴栄の言葉が終わるや、術者達の姿は消えた。

 家は壁と柱が潰れる寸前まで歪み、木の弾ける音が響き渡り、更にその上には今も隆起して出来上がった崖の上から土砂が落ち続けていた。
「おハル坊! ハル坊が中に!」
「ばかっ、死にたいんか!」
「おちつかんかい!」
 父親と数名の子供が助けに入ろうとするが、他の村人に取り抑えられている。
 家の柱が大きな音を立て、ガケが一気に崩れ、土砂に家は完全に埋まる。
「うわあああああ!」
 父親が泣き叫ぶ中。
 家を埋めた土砂が、盛り上がった。
 土砂を押し上げていたのは、鶴の式の翼だった。広げられた翼の下には、青い顔をして震えているハルの姿があった。
「ハルぅぅううう!」
 父親や子供達がハルに駆け寄る。
 鶴の式は、別の家へと向かい、また別の新しい鶴が、飛来して来ていた。
「……新しい式、貰わないとね」
 村の入り口で、彩世は座り込んで大きな溜息をついた。

 炎は大垣の町を舐め尽くしていく。術によって起こされる雨も、大気中の水蒸気を使い尽くし、既に役目を果たしていない。
「ぇく……ぅっっく……」
 燃えさかる家で、風呂桶の水に浸かって五歳程の男の子が辛うじて炎を避けている。
 通りとの中ほどに、炎を走り抜けようとして死んだ父の姿と――そして、そして身体から立ち上る暗い影があった。
 苦悶の感情に歪んだ魂、悪霊。
 ついに炎は男の子の近くの瓦礫に着火した。
 強烈な熱気に耐えかね、男の子は水に頭を浸ける。空気に酸素は乏しく、呼吸器が焼け爛れる程の熱を帯びている。
 息を吸えば死ぬ。それを感じつつも、無情にも身体は次の一呼吸を要求する。
 男の子がついに水から顔を上げた時。
 冷たい風が吹き抜けた。
 男の子の目には、羽ばたいて風を起こす巨大な鶴の姿がはっきりと見えた。
 次の瞬間、鶴は断ち切られ折り鶴になり、返す刀で悪霊が切り裂かれる。
 抜き身の刀を提げ、肌という肌を、濡らした布で覆い、口にも布を詰めてるその人影は、藤田だった。

「そっちです」
 藤田の肩に座る小鬼の式が、土御門の声で言う。手には、斬られた折り鶴を持っていた。
「すみません。四半刻後には必ず任に戻ります」
 薄暗い森の中を走りながら、藤田が詫びる。
「追い続けた標的でしょう、遠慮は無用です」
 木々の間から、朝陽が差し込んでいる。
「あなたは既に、救った人の数も、往生させた悪霊の数も、我ら十人分の働きを超えているのですから」
 森が切れ、村に差し掛かる。
 大きな隆起の発生した村は、火災を消し止めようと村民達がバケツリレーで水を送っている。
 藤田の目が、炎の向こう、村民達の少し後ろ、崩れ落ちた岩に腰かけ四方式を折っている富子と傍らの彩世の姿を捉えたのと同時に。

 鬼面が現れた。

 炎に包まれ、憤怒の表情をした空を飛ぶ酒呑童子の首。
 藤田は大きく踏み込み突きを繰り出した。
 踏み込むなり、添える右手を外し左手一本を伸ばす。
 左片手一本突き。
 幾多の敵を屠った渾身の突き。
 必殺の一撃。
 同時に。
 鬼面は三つの鬼面に分かれた。

 使霊を宿らせるにせよ、術師が直接操るにせよ、式の動きには各々ズレが出る。従って「完全に同期させた三体で一体に見せる」という術は、あり得ない。
 動きを予め折り込める四方式という唯一の例外を除いて。
 その意味で、この攻撃は完全に藤田の意表を衝いた。
 だが藤田にとって。
 「己が意表を衝かれる事」は、想定の内にある。

 藤田は瞬時二の足を継ぎ、全く勢いを殺さず切っ先の軌道を変じた。
 二段突きは鬼面を貫く。
 そして三の足、四の足、五の足。
 突きの勢いを維持したまま、ほぼ後ろを向くまでに軌道を変える。
 二つ目の鬼面が貫かれていた。
 だが、この時点で左肩、左肘、手首を含めて完全に伸び切り、突きは完全に終わる。
 三つ目の鬼面は背後にあった。
 如何なる剣豪も、背後に瞬時に攻撃する事は出来ない。
 藤田は、振り向く事も、刀を振る事もなく。
 突きの勢いそのままに走った。
 鬼面は鋭い牙で藤田の背中に食らい付く。
 血が飛び散った。
 藤田の背は抉られた。
 背だけが。
 地面の隆起で出来上がった段差。
 僅か三メートルの段差の、一秒にも満たない落下の加速。
 鬼面が食い千切る動作で生じたスピード低下。
 僅かな速度差は重なり、藤田が振り向くほんの一瞬を与えた。
 藤田の刀は鬼面を貫いた。
 そして藤田は空を見上げる。
 そこには、巨大な鷲に掴まり飛び去る富子と彩世の姿があった。
 藤田は懐中時計を開く。
「時間か」
 一呼吸も休む間もなく、藤田は燃えながら倒壊していく――奥から僅かに赤ん坊の泣き声が聞こえる――家に突入して行った。

 ダイニングの十二人掛けのテーブルの席には、エプロンドレス姿の彩世と、スーツ姿の富子、そして館の主人の白人の男が座る。
 ミルクティの香りがダイニングの中に漂う。
 ダイニングの窓からは、港に停泊する大小様々な船が見える。
「神戸とも」
 三枚目の瓦煎餅を手に取ってから、彩世はふと呟く。
「来月にはお別れね」
「ハハハ、元気なアヤセさんなら、セイロンの方がきっと気に入りますよ」
 男のヒゲに、半分ほどミルクティが染みこんでいる。
「居留地のゲートを気にしなくて済むわよぉ」
「あ、それはうれしい」
 彩世はミルクティーを飲む。
「トミコさんも、セイロン支社の事、よろしく頼みます」
「不法侵入した私たちを匿ってくれた恩義、きっちり返させていただきます」
「いえ、それは既に返して頂いています。トミコさんが秘書として働いてくれた三ヶ月で、難航していた商談のほとんど全てがまとまってしまった。一体どんなマジックを使ったんです?」
「うふふ、グルーム会長、昔から女の子ってものは、砂糖とスパイスと」
 富子は空いたティーカップをソーサーに置く。
「ステキな呪術で出来てるものですよ」
 ティーポットから立ちのぼる湯気は、射し込む陽光を受けて、キラキラと輝いていた。

「……三ヶ月の間の復興作業と悪霊退治、ご苦労様でした」
 藤田の肩に乗った小鬼の姿の式が、晴栄の声で言う。
「最早、怨霊会の可能性ありますまい」
 藤田は今し方悪霊を斬った刃を鞘に収め、瓦礫に腰かける。
「警察を退かれた藤田殿にここまでの協力を頂き、感謝の言葉もございません」
 瓦礫の撤去は進み、新たな建物も建ち始め、街灯りも戻りつつある。
「お互い様です。この忙しい最中に四方式使いの探索なんて面倒をお願いしまして」
「我が儘だなんてとんでもない。川路大警視の仇に対する恨み、察するに余りあります」
「恨み?」
 藤田は笑う。
「今回の件、救助に甚大な貢献をした彼女には感謝こそすれ、恨みなんてありませんよ」
「え? それじゃあ何故斬ろうと?」
「そりゃもちろん、四方式使いが呪い屋処分の対象だからですよ」
 藤田は瓦礫から立ち上がった。
「人斬りが人を斬らなかったら、道理が通らないじゃあないですか」
 夜空には研ぎ澄まされた刃のように細い月が浮かんでいた。







  エントリ2 蛍 (後編) 〜2006年 夏〜   百


「戦争が終わったなら、父ちゃん帰ってくるね」
 ぼくが言うと、おじさんは小さい声で答えた。
「帰って来られるといいんだが……」
 せみの声がまた大きくきこえ始めた。

「帰ってこられない?」
「いや、帰ってくるさ、きっと」
 おじさんはぼくにじゃなく、自分にいいきかせるみたいに強めの声でつぶやいた。

―おじさんは父ちゃんが帰ってきたら、どうするんだろう?―

 変な気持ちだった。おじさんがかわいそうな気持ちもあり、いい気味だといういじわるな気持ちもあり、父ちゃんが帰ってくるといううれしい気持ちもぶつけたいような……。

「これで相田家に入り込もうって話もおじゃんだな」
 急に話しかけられて、おじさんとぼくはふり向いた。
 ぼくの家が入っている班の班長さんだった。
「お前の思い通りになんてならないんだよ。戦争が続いても終わっても、な」
 おじさんはおどろいて「何の話ですか?」と言い返した。
 班長さんはどなった。
「お前みたいなこざかしいやつは見たくもない。秀雄の家にはもう近づくな!」
「こざかしいって……」おじさんが言いかけると班長さんはおじさんの左足を、悪い方の足をけろうとした。
「この足だって、怪我したくて怪我したんだろ!」
 おじさんは左足をかばって身をかがめたので、左肩と頭をけられ、その場にうずくまった。
「おれの三人の息子は戦死した。正々堂々とな。なのに、卑怯なまねをした奴がのうのうと……。許さないぞ。おれはお前を許さない」
 班長さんは真っ赤になった目でおじさんをにらみつけた。
 ぼくは動けなかった。
「みちお、来い、家までおくっちゃる」班長さんが言った。
 ぼくはうずくまるおじさんを見てから、班長さんを見た。
「はよこいっ!」
 ぼくはだれかに押されたみたいに班長さんにかけよった。

 そのまま、班長さんに連れられて家に帰った。

 母ちゃんには何も言えなかった。

 山田のおじさんはうちに来なくなった。

 母ちゃんも何も言わなかった。

 冬、とうちゃんが死んだという連絡が来た。戦争が終わる数日前、南方のジャングルの中で父ちゃんの師団は玉砕したそうだ。

 母ちゃんはばあちゃんと泣いた。ぼくは父ちゃんの写真を見ながら南方のジャングルを思った。

 父ちゃんの戦死の連絡があってから、ばあちゃんはますます寝たきりになり、春に亡くなった。

 そして、夏。
 山田のおじさんが再び現れた。山田のおじさんは母ちゃんとぼくに、村を出て一緒に東京に行こうと誘いに来たのだ。

 母ちゃんの顔はうれしそうにも、困っているふうにも見えた。

 母ちゃんはぼくに聞いた。
「みちおはゆきおさんと東京に行きたいかい?」
 ぼくの心の中に小さな怒りが生まれた。

―なんでぼくに聞くのさ。なんでもぼくのせいにしないでよ!―

 小さな怒りがだんだんぐるぐると大きくなってきて、ぼくはそれをおさえることができなかった。

「行きたくない」
 母ちゃんは驚いたようだった。『行きたい』と言うと思っていたのだろうか。それとも、そう言って欲しかったのか。
「ゆきおさんはね……」
「母ちゃんのその言い方、いやらしいよ。ずっといやだった。ぼく、山田のおじさん、きらい。おじさんはわざとけがして戦争に行かなかったって。父ちゃんは戦争に行って、死んじゃったのに。かわいそうだ、父ちゃんがかわいそうだ!」
 
 自分で言いながら何を言いたいのかわからなくなって、父ちゃんがかわいそうだとくり返し、ぼくは号泣した。
 
 でも、父ちゃんがかわいそうだって考えるからかわいそうに思えてくるだけなのかもしれなかった。
 
 山田のおじさんと東京に行くということはとてもすてきなことに思えた。
 でも、班長さんの真っ赤な目や、さとしとまもるの意味ありげな目配せとかそういうものに何かきっぱりとしたものを突きつけて『よくやったな』『さすが』と思われたいという気持ちの方が大きかった。

 そして、山田のおじさんは一人で東京に行った。




 目が覚めてもしばらく起き上がれなかった。
 頭に蝉の声が沁みこんでくる。

 夢か。いや記憶か。

 今になってわかる気持ちというものもあるんだな。

―母ちゃんと山田のおじさん、一緒になるのをぼくが許していたら……―

 早めの夕食を加奈子と健志と囲んでいる時に加奈子が言った。
「山田さん、夕食後になるので、駅前の公園で待ち合わせることにしました」
 変にぎこちない口調。健志が「涼介さん、ほたるの公園に来るの?」と嬉しそうに聞き返している。

―健志には、『さとしやまもる』はいないんだな―

 ほっとすると同時に、昔の自分に何か言ってやりたい気持ちになった。その何かは思いつかないのだが……。

 食事を済ませ、旅館の送迎バスに乗り込む。
「ごめんね、山田さん、最近仕事が忙しくて」と加奈子がすまなさそうな表情で言い訳してくる。
「仕事が忙しいのはけっこうじゃないか」
 私がそう返すと加奈子はちょっと笑って言った。「父さんらしい」

 駅前にバスが到着し、私達は公園へ向かう橋を渡った。旅館の浴衣姿の人々も来ている。公園の遊歩道へ入るとそこには斜面の草の茂みに沿って小さい川が作られていて、そこに蛍がいるようだ。

 緑と黄色の間の色のような輝く光が茂みの中に点滅している。
「あれ! あれがほたる?」
 健志が指差して私と加奈子を交互に見やる。
「そうよ。きれいね」加奈子の声も弾んでいる。
 
 私は涙が出そうになった。
 蛍の命の光に三枝子を思い出していた。

―三枝子、会いにきてくれたんだね―
―お父さんたら、そっちが会いに来てくれたんでしょう。加奈子も健志も元気そうね―
―ああ、元気だよ。加奈子には恋人ができたらしいよ―
―まあ、素敵。でも、お父さんは心配でしょうね。前の事もあるし―
―何言ってる。加奈子と健志がいいなら、それでいいんだ。私が口を出すことじゃない―

 茂みの奥の方でひとり、光っている蛍に気がついた。父ちゃんだ。父ちゃんは写真のまま、若い軍服姿のままだった。ただ、記憶の写真より微笑んでいる気がした。

―父ちゃん、会いたかった。……ジャングルで苦しかったろうね―
 父ちゃんは何も言わず、静かに笑っていた。
―母ちゃんは、ぼくを許してくれるかな……―
 その時、その奥の蛍が飛んだ。飛んで前の蛍達の光の輪に入った。

―母ちゃん! 山田のおじさん、それにばあちゃん。班長さんと班長さんの息子さん達、だね……―

 私は蛍の光の中に懐かしい人々の姿を見た。

―もう、いいんだね。みんな許してくれてるんだね―

 勝手な解釈かもしれないけれど、みんな、もう、過ぎてしまったことなのだ。どう選択して、どう進めば良かったのか……、正解はない。
 昔の自分にかける言葉を思いつかないのは当たり前だ。もう後戻りはできないのだから。でも、忘れ去ることをしてはいけないと思う。
 過ぎてしまったことを重ねてきたからこそ、今の自分が、加奈子が、そして健志がいる。

 私はこれからのことを考えた。
 そう、今は加奈子と健志と、これから会う加奈子の恋人のことを考えよう。
 私と三枝子の、そして父からの母からの命を継いでいる私の娘と孫と一緒に生きようとしてくれている人。
 
 終わりではないのだ。生は継がれて、同じような思いをくり返していくのだ。

「涼介さん!」
 健志のうれしそうな声が響く。
 私はゆっくりと振り向いた。蛍飛ぶ暗がりの中を背の高い青年が手を振りながら近づいてくるのが見えた。

 
○作者附記:
 一年間、読んでいただきありがとうございました。
 
 実は第1回3000字小説(夏スタートでしたので『蛍』が初回の話になるはずでした)にこのような続き物で参加しようかなと構想を練るも断念。
 第2回が「続き物」というお題と知り、ならばと再び構想を引っ張り出して、新たにエピソードを加え、できるだけ公開時の季節に合わせた時系列になるように再構成してみました。(震災で締め切りがずれ、予定外の話を書いた時もありましたが)
 構想約2年。今は宿題をひとつ終えたような気持ちです。
 『山田涼介』ですが、書いた後に同名のタレントがいることがわかり冷や汗をかきました。特に関係ありません。(笑)

バトル参加の作家の皆様、スタッフ様、コメントを頂いた読者様、一年間お疲れ様でした〜!







  エントリ3 修羅の国から Vol.6   国津武士


 リーダーがいなくなった後、咳き込む船員の一人の頭を、痩せた海賊が踏み付ける。
「さっきは随分手間かけさせてくれたじゃねえか、ああ?」
 顔面を蹴飛ばす。
 鼻が潰れ、血が流れ出す。
「カラル、傷つけたら身代金が」
 別の海賊が止めようとする。
「下らねえ、こんだけいるんだ、一人二人死んでたとこでどうだってんだ」
 海賊はグロック17のコピー品を抜き、船員の頭を撃ち抜こうとした。
 しかし。
 海賊は瞬時に身体を強ばらせ、悶絶する。彼の背に、いつの間にかシャンデリアから伸びたワイヤーが触れていた。
 もう一人の海賊が異変に気付くが、既に遅い。別のワイヤーが絡み付いた。悶絶は痙攣へと変わり、そして、動きが止まった。
「――銃で撃たれるのは嫌いだったようだが電気はどうだった?」
 照明のすぐ傍らを通るエアダクトから、手だけを伸ばしてワイヤーを操っていたマシェルが、にやりと笑った。
「羊の夢でも見るんだな」

「なんだ……これは?」
 サロンにやって来た海賊のリーダーが、立ち尽くす。
 サロンには、拘束された乗客の姿しかない。
「逃げたんじゃないですか?」
「PKFの介入が怖いんですよ」
 部下二人が、辺りを伺う。
「最初から承知の上で参加してるヤツらばかりだ。そんな事ぐらいで――」
 リーダーはふと、暖炉に目を止める。
 暖炉の蓋が、ずれている。
 無言で暖炉の蓋を外す。
「こ……」
 そこには、押し込められた海賊の死体があった。
「うわっ、な、なんだ……」
「なんて事しやがる!」
 部下は、乗客にAk47を向ける。
「やめろ。灰の跡は、外へ続いてる」
 リーダーは歯がみして、財物が集められたままになっている布袋を掴む。
「ウズに連絡だ! 船内全部に放送して、ネズミを狩り出す!」
 そして、廊下に飛び出そうとする。
 リーダーのその爪先が。
 絨毯の毛足に埋まった。
 勢いに乗ったリーダーの身体は、この僅かな段差に躓き、倒れ込む。
 部下二人も、奇跡のようなタイミングで倒れていた。
 その先。
 廊下の真ん中。
 来る時は気づかなかったそれが、リーダーの目に映る。
 真っ直ぐ垂直に立てられた、薄い一枚。
 刃だけにした肉切りナイフが、倒れ込むリーダーと、部下二人の喉に真っ直ぐ突き刺さる。
 呻き声一つ上げず、三人は沈黙した。
 客室のドア陰に隠れていたマシェルとリーが姿を現す。
「す、すげ……カートゥーンみたいだな。まさか三人同時に殺れるなんて、すげえラッキーだ」
「だろう? 今日の天秤座の運勢は、最高なんだ。勿論、ちょっとしたコツはあるがな」
 リーがリーダーの腰からS&W M60を抜き取る。
「暖炉に気付き、前に来るように誘導する。ここまではどうでも良い。そこから、こいつが急いだときの歩幅である一一〇センチの倍数の位置に絨毯の深さを変える躓きトラップを仕込む。後は、天井に適度に視線を惹くマーキングをして立った姿勢を維持させたまま、身長から割り出した喉の位置にブレードを配置すれば良い」
「あの僅かな間に、そこまで考えて仕掛けてたのか?」
「テストの日は、いつも三十分前に終わって、先に帰ってた」
『リーダー! 戻って来てくれ』
 その時、船内スピーカーから、男の叫び声がした。
『船員全員殺しちまった、通信の相手が出来ねえ!』

 マシェルとリーは、通路を走る。
「糞っ、操舵室にいやがらねえ!」
「……撤退か? ラストオーダーにはまだ早いと思ったが」
 あちこちでざわめきが聞こえ始めている。
 拘束されていた乗客や船員達が、異変に気付き始めている。
「逃がすかよ、海賊野郎。切り刻んで海にばらまいて、フィレ・オ・フィッシュの間接的な材料にしてやらぁ!」
「熱くなるなよ、マック。タルタルソースを作り忘れるぞ」
 階段に辿り着き、駆け上がる。
 甲板に上がると、今正に、一隻の高速艇のエンジンがかかるところだった。
「野郎っ!」
「……伏せろ!」
 Ak47を撃とうとするマシェルに、リーはしがみついて伏せさせる。
「何しやがる! 逃げちまうだろうがっ!」
「頭を冷やしてよく見ろ。さもないと、冷やす頭がなくなるぞ」
 リーは高速艇を指さす。
 高速艇の甲板には、ガトリングガンが一基、据え付けてあった。
「あ……」
「M134・ミニガン。あれに比べりゃ、カラシニコフなんぞ水鉄砲……いや、子供の小便、春の雨……」
「いや、そこはどーでもいい」
「ともかく、海賊の気が変わってこっちに向けてぶっ放せば」
 リーは振り向く。
「俺たちもイギリス人の夕食みたいになっちまう」
 甲板には無数の弾痕が穿たれ、血飛沫があちこちに付着している。
「だからって、逃げてんだぜ、ヤツは!」
「……ふむ、そうだな、どうやら」
 ミニガンには、誰も着いていない。そもそも、操縦をしている者の他に、人影が見えない。
「本当に逃げる事しか考えていないらしい」
 リーはハンカチを取り出し、一掴みのコインとアクセサリーを挟む。
 そして、投石帯の要領でハンカチを振り回し、離す。
「お、おい? なんだってあんなヤツらに」
「貧しさが海賊を生んだと聞く。もしも、幾許かの金で、次の海賊が生まれずに済むなら、安いもんだろう?」
 勢いのついたコインとアクセサリーは、煌めく光となって一直線に飛び、高速船の甲板に届き、そのまま船室へと転がり落ちて行った。
「甘くねえか?」
「忘れたのか?」
 リーは笑う。
「自分のしでかした事を後悔している悪ガキには、鞭よりもキャンディーとキスの方が効くんだ」

 客船に、PKFのロゴが入ったヘリコプターと哨戒艇から、次々に兵士が乗り込んで行く。
「――すると、海賊達は」
 隊長が、リーとマシェルに尋ねる。
「ああ」
 リーは頷く。
「たった二人で、ですか?」
「彼がよくやってくれた」
 マシェルの背中を叩く。
「いや、作戦はほとんどじいさんだよ」
 照れながら、マシェルは頭を掻く。
「これ程の事態を、ここまで被害を押さえて……失礼ですが……お仕事は?」
 隊長は背筋を伸ばし、尋ねる。
「コックだ」
「コックです」
 隊長は暫し呆気に取られた顔をしていたが、やがて、笑った。
「是非、海賊の調理法をお尋ねしたいものですね、ははっ。何しろ、あなたの英雄的行為は、明日の新聞のトップを飾る事間違いありませんね」
「この国に新聞なんかあるのか?」
 おどけたように言って、マシェルは笑う。
「ははっ、私の母国、アメリカの話ですよ。PKF詰めの記者に是非話しましょう」
「あまり目立つのは勘弁してくれ」
 リーは肩をすくめる。
「コンビニで気軽にプレボーイが買えなくなる」
「いやぁ、映画のようなヒーローに会えるなんて、私はなんて幸せなんだ!」
「まったくだ!」
「サイン貰えますか、ヒーロー!」
「握手して下さい! ヒーロー!」
 隊員達に詰め寄られ、リーとマシェルは困惑気味に、けれど晴々とした表情で笑った。
「しかし、本当のところ、どこで戦闘技術を?」
「オレは、モザンビークで」
「俺は、ベトナムだ」
「おお、ベトナム!」
 隊長はオーバーアクション気味に天を仰ぐ。
「私の父も、ベトナムで戦いましたよ。部隊はどちらに?」
「言っても分からんと思うよ」
「そんな事は! 父の話は本当によく聞いていまして……ここだけの話ですが、いわゆる特殊任務の部隊についても」
「それでも分からんと思うね。何しろ俺は」
 リーは、にやっと笑った。
「勝った方だからさ」
 傾きかけた日は、甲板を赤く赤く染めていた。







  エントリ4 憂心   しろくま


 七月の長期休暇に入った大学は閑散としていた。隆が教員室から出るとイスラムのお祈りの時間を告げるアザーンが耳の鼓膜を強く叩いた。一緒に勉強していた学生が隆の後ろを付いて部屋から出てくると、隆は錠を閉めた。
 学生は中華系の女の子でシティと言った。キリシタンの子だった。中国人によく見られる丸い頬を持った子だった。目の小ささは自分でもよく自虐を込めて言っていた。ただそれは横長の切れ目でなく、小さくても木の実のようにくりりとしていて、丸い頬は赤ん坊のような印象を隆に与えた。
「そういえば僕、今朝変な夢を見たんだ」
「夢?」
「僕が学生になってて、一年生の子達と海へ遊びに行く夢」
「先生、学生みたいだから」
 キャンバスにアザーンが響く中、歩きながらシティは笑っていた。そしてまた、思いついたように隆に訊いた。
「先生は仏教の歌を歌えるの?」
「お経のこと? うん、うたえる。ずっとしてないけどまだ覚えてる。でも、お経をうたえる日本人はあまり多くないと思う。シティは覚えてるの?」
 シティは元々仏教徒だった。しかし、高校生の時に、親の反対を押し切って改宗した。
「覚えてないよ。歌わなかったから。私は真面目じゃないから。先生は真面目だね」
「僕も真面目じゃないよ。小学生の時、怖い先生に怒られたくなかったから、仏壇に一生懸命お祈りしてただけ」
 そう言うとシティは笑っていた。
 最大のイスラム国家であるインドネシア。隆のいるスマトラ島は古くから大陸の文化がマレー半島より流れ込んでくる場所であり、都市には今も多くの文化が共存している。キリスト教もその一つで、他の土地よりもキリシタンが多く、ムスリムとキリシタンが共存している。仏教徒もいるが、そのほとんどは中華系だった。
 人々は中華系の人を中国人と言う。バタック人、ジャワ人、マラユ人と呼ぶのと同じように中国人と呼ぶ。ただ日本語の「中国人」は中国本土に住んでいる人のことを示すため、隆は日本語では「中華系」と言うように教えた。
 この日までの一か月、隆はシティと二人で週末に迎えた日本への留学試験対策の勉強をしていた。インドネシアから日本へ行ける学生はほとんどいない。日本に行けるインドネシア人がまず少ない。
 隆はここに来てアジアにおける日本を知ったが、それは同時に、アジアにおける日本、中国、韓国という東アジアの三国の見え様を知ることでもあった。中国、韓国から見ればライバルである日本。他の東南アジアの国々から見れば、その三国は坂の上の雲とも言える。地図では上に位置する三国の並びが大きく棚引いていて、どこの国も上の世界へ行くことを目指している。
 アジアだけでなく、世界的に大きく経済を握っている中華系だが、中華系というだけで時にマジョリティの人種に一種嫌悪感を抱かれるのは日本だけのことではない。ここインドネシアでも中華系の人達は苛めの対象になることがある。隆のいる街でも中華系が経済を強く握っているため昔からよく反感を買われる。日本人と同じ北部モンゴロイドの白い肌は目立ち、女性は暴漢を受けることがある。
 シティは一種、変わり種だった。隆が派遣された大学は国立の大学だった。普通、裕福な家庭の多い中華系は私立の大学に進む。国立の大学で中華系の姿を見掛けることは少ない。国立には国の支援で日本人教師が派遣されることがある。彼女は日本人教師が来るからという理由だけで国立大学に進んだ。改宗といい、あまり自信を持たない割にはそういった違いを諸共しない彼女の性格がよく分かる。
 留学試験の勉強中、シティは街で開催されている日本祭に隆と行きたいと言った。他の先生達や学生達と会わない彼女との勉強の日々は隆にとっても気持ちのいい時間だった。隆もその日本祭にはまだ行っていなかった。試験が終わった翌日、二人は約束していた通り日本祭に出掛けた。彼女が家の車を運転して隆の下宿にまで迎えに来た。
「試験はどうだった?」
「うーん、分からない。どうかな、ダメかもしれない」
「大丈夫だよ、努力したから。あとは心配しないで結果を待つだけ」
「神様は私を選ばないかなぁ」
 普段、大学に来る時は白い服の多い彼女だったが、この日は黒のティーシャツとジーンズを穿いていた。インドネシアに来てからは見なくなったサイズの大きい黒のティーシャツから伸びる白い腕がとても綺麗で、ハンドルを右左に忙しく回す彼女の腕を、隆は暫く助手席から眺めていた。
 会場となっている広場はインドネシア語で「独立」を意味するムルデカ広場で、公園の中央にはステージが建てられており、その周りをテントが円く並べられていた。ステージでは日本武道のデモンストレーションが行なわれており、テントではそれぞれ日本の地方文化を紹介していた。
 こういう機会がないとなかなか外国人の目から見る日本文化を知ることはできない。つい外国人の視線に同化して、隆が「おもしろいなぁ」とつぶやけば、シティが「先生、本当に日本人なの?」と笑った。
 帰りも隆は彼女の車で下宿に戻った。顔を洗い、机の前に腰掛けパソコンを開くと急に疲労感に襲われた。耐えられず隆はそのままベッドの上で大の字になった。
「よくこんな僕が、海外の異文化の中で生活しているよ」
 隆はふとそんな言葉を天井へ吐いた。
 僕は今、多民族、多宗教国家にいる。宗教は、人が自分達を救うために作ったものだ。人を救うための宗教だが、それが違うだけで人は結婚することができない。神を信じていない僕は何を信じているのだろう。「縁」だろうか。大勢の人なんていらない。すれ違っていくだけの人なら、一々気を揉まなくていいじゃないか。本当に大切な人、一緒に旅ができる人、隣にいるだけで落ち着く人、早くそんな人が、一人欲しい。
 隆の心はまだ四年前の学生時代と変わらずに日本の実家近くにある公園の林の中を走っていた。日本を出てから夜空を見上げて一人歩いていると時々思うことがあった。一人インドネシアにまで来たんだ。異文化の中で生活しているんだ。一人で歩くにしても、日本で歩いていた頃より格好がつくかな、と。しかしどこにいたとしても孤独の中にかっこよさは存在しない。
 孤独を深めた大学院、研究生の日々に比べてインドネシアに来てからの数カ月は時間の経過が短くも長くも感じられ、充実していると言える。ただ忙しさから昔のように考えることを忘れていただけで、根本的解決にはなっていない。今の隆の正面には学生達がいるけれど、日本から付いてきた孤独が常に背後から覗いている。日本に帰ったら昔に戻る自分が想像できる。
 暫くそのまま横になっているとズボンのポケットの中でケータイが鳴った。物憂く取り出してみるとシティからSMSが届いていた。彼女も家に着いた頃だった。
「先生、さっき車で私の白い服を見ましたか。なくしちゃったみたい」
 白い服と言われてシティがどの服のことを言っているのか隆はすぐに分かった。それ程彼女のことをよく見ていた。ベッドの上で仰向けになりながら返信のSMSを打った。
「白い服? きょうは黒い服を着ていただけでしょ?」
「いいえ、お気に入りの白い服を持っていました。あーあ、なくしちゃったみたい。彼氏が買った服なのに。とても悲しい」
 シティのSMSの顔文字が泣いている。隆はなんとか思い出そうとした。きょうのシティは確かに黒いティーシャツの姿だった。白い服は見なかった。持って行っていたとしても車からは出していないはずだ。
 隆はもう一度返信のSMSを送った。
「公園に行った時、白い服は持っていなかったよ。大丈夫きっとどこかにある。だから、悲しまないで」






  エントリ5    


(本作品の掲載は終了しました)





  エントリ6 サンキュウ   石川順一


ホワイトジャックの必死の懇願は半分は受け入れられたのでホワイトは半ば安心して再び眠りにつき過去を総決算するように思い出していた。どいつもこいつも法律に詳しいやつらばかりだった。例えば、ラナ玉井。ストロボ城の女城主だったやつ。
「ホワイトさん。法律の生命は準用にあります。例えば行政事件訴訟法第56条(審査請求に関する規定の準用) 第2節(第14条第1項本文、第15条第3項、第18条から第20条まで、第22条及び第23条を除く)の規定は、再審査請求に準用する・・・」
「何? つまらない? ならこれでどうだ。マンション標準管理規約によると、理事の員数はおおむね10〜15戸につき1名選出するものとする・・・」
 ふん馬鹿が。おまえの思い出だけで生きているわけではないわ。次。千田金子さん。彼女も詳しかった。
「理事長は、必要と認める場合には理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる」
「え?」
「理事会の決議を経てね」
「はあ」
 うーん、いいねえ。ホワイトはラナの二人の娘も思い出した。
「ホワイトさん。集合動産を譲渡担保の目的物とした場合、設定契約時に存在する動産を実行対象として特定してしまっては、その目的を達成することは出来ない。集合動産は、目的物の範囲が特定されて居れば、構成部分である個々の動産に変動があっても、全体を1個の集合物として譲渡担保の目的とする事ができる」と玉井麻衣子
「ホワイトさん。仮執行宣言が付されている場合には、勝訴判決が確定しなくとも強制執行をすることが可能である。下請法の適用対象は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託である。金銭債権またはこれにかわりうる債権につき、債務者の財産の現状を維持しておかないと、後日、強制執行が不能または困難となるおそれがある場合に、その執行保全の目的で債務者の財産の処分を禁じる暫定措置を仮差押えと言う」と玉井玉子。
ラナには息子も二人いたな。玉井稲荷も玉井ロンドも男だけあって(こう言う言い方は・・・)法律に強かった。
「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規役の設定、変更または廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者またはその議決の4分の1を超える議決権を有する者が反対した時はする事が出来ない」と玉井稲荷。
「一部共用部分は規役で定めれば区分所有者全員の共有とすることができる」と玉井ロンドと玉井稲荷。
 エダニハ=カーテンもすごかったな。
「一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係するものは、その一部共用部分を共用すべき区分所有者の規役で定めることはできない。すなわち、一部共用部分に関する事項で「区分所有者全員の利害に関係しないもの」は、区分所有者全員の規役に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規役で定める事と言う事だ。(つまり「区分所有者全員の利害に関係するもの」は、その一部共用部分を共用すべき区分所有者の規役で定める事はできないということ)」とエダニハ=カーテン。
 ヒトラー大学の学長、ヒトリングムラーもすげーと思った。
「俺が一番すげーよ。理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿およびその他の帳票類を作成して保管し、組合員または利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない(標準管理規約64条1項)。理事長は、総会の議事録を保管し、組合員または利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない(標準管理規約49条1項)。また、この利害関係人には、専有部分の担保権者が含まれる。理事会の議事録には、総会議事録の規定が準用されている(標準管理規約53条2項、49条3項)。専用使用権者がバルコニーへテレビアンテナを設置する場合について使用細則で事前に管理組合の承認を必要とする等の制約を加えることができる。専用使用権は、その対象が敷地または共用部分等の一部であることから、それぞれの通常の用法に従って使用すべきこと、管理のために必要がある範囲内において、他の者の立入りを受けることがある等の制限を伴うものである。また、工作物の設置の禁止、外観変更の禁止等は使用細則で物件ごとに言及するものとする(標準管理規約14条関係コメント2)。規役の対象物件のうち共用部分については、全体共用部分、住宅一部共用部分及び店舗一部共用部分に区分しますが、一部共用部分も含めて全体を管理組合が一元的に管理します。マンション標準管理規約(複合用途型)の全般関係コメントによると、この規役は、区分所有者全員の共有地である敷地、全体共用部分および付属施設のほか、一部の区分所有者の共有物である一部共用部分についても全体で一元的に管理するものとしている。全体共用部分は区分所有者全員の、住宅一部共用部分は住戸部分の区分所有者のみの、店舗一部共用部分は店舗部分の区分所有者のみの共有として、それぞれの共有部分を定めます。対象物件のうち、敷地、全体共用部分および附属施設は、区分所有者の共有とし、住宅一部共用部分は、住戸部分の区分所有者のみの共有とし、店舗一部共用部分は、店舗部分の区分所有者のみの共有とする(標準管理規約複合用途型9条1項・2項・3項)。また、10条において各区分所有者の共有持分を別表3で定めることとしている。店舗の前面の敷地ついては、当該店舗の区分所有者に専用使用権を設定しますが、使用料については、その管理に要する費用に充てるほか、全体修繕積立金にとして積み立てます。駐車場使用料その他の敷地および共用部分等にかかる使用料は、それらの管理に要する費用にあてるほか、全体修繕積立金として積み立てる(33条)。住宅部分について住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会を設け、店舗部分について店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を、設けることとします。管理組合に、住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会および店舗部分の所有者で構成する店舗部会を置くこととされている(60条1項)。管理組合に対しあて先の届出のない組合員に対する総会の招集の通知は、通知の内容のを所定の掲示場所に掲示することにより代えることができる。総会の招集通知は、対象物件内に居住する組合員および通知のあて先の届出のない組合員に対しては、その内容を所定の場所に掲示することをもって、これに代えることができる。専有部分の賃借人が会議の目的につき利害関係を有する場合において、総会に出席して意見を述べる旨の通知があったときは、総会の招集の通知を発した後遅滞なく、その通知の内容を、所定の掲示場所に掲示しなければならない。区分所有者の承諾を得て専有部分を専有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる(45条2項)。この場合には、意見陳述権を有する専有者に総会の開催を知らせるために、組合員に招集通知を発した後遅滞なく、その内容を、所定の場所に掲示しなければならない(43条7項)、どうだ」とヒトリングムラー学長。
「なげー。でもすごい。サンキュウでした」とホワイト。
 ホワイトは居酒屋で出会ったヒトラー大学の教授も思いだしていたが、彼は大変寡黙な人だった。とにかくいろいろな人の世話になった。皆さんサンキュウでした。









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