第3回チャンピオンofチャンピオン詩人バトル Entry3
ぼくは 鉄塔の下で
後藤を待っている
より子、だなんて呼べないものだから
後藤
さんを待っている
ニットキャップの下は汗ばんで
一月の空の下で、汗ばんで
指先はすっかり凍えているのに
やかんな頭は湯気、噴いて。
鉄塔の遠く 遠く遥かまで
太鼓の音高く低く 送電線を震わせて
はやく初詣に行かないと
後藤さんは、じつは鳥目なのだ。
丘の上 向こうの鉄塔の下に
真っ赤に熟れた後藤さんがいて
(なんだ、どっちが間違えたんだ)
怒られる、と真っ青になる。
慌ててぼくはびっこの足で
全速ひいこら脱兎でよろけ
石だらけの丘をかけのぼる
後藤
さんに待たれながら。