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第4回チャンピオンofチャンピオン小説バトル Entry2
多分だれも私のこと、好きじゃないから。そう言って彼女は少しだけ笑った。テーブルの上ではテープレコーダーが回っている、これは彼女の遺書になるかも知れないなと、そんな有り得ないことがふと、頭をかすめて消えた。 彼女と僕とは二つ違いの恋人同士で僕が19、彼女はまだ誕生日が来ていないので16だ。それぞれ大学生と高校生。バレンタインにはチョコを貰いホワイトディには今年はハンカチをあげて、誕生日にはケーキを奢ってクリスマスにはプレゼントの交換をする至って普通のカップルだ。ちなみに飛行機の模型を貰った、木製の可愛いやつだった。 ただ彼女はちょっと落ち込むと酷い子で。その左手の手首から腕にかけてに無数の傷跡があった。僕個人としてはそんなことをするひとは寂しいんだ、構って欲しいんだという考え方なほうなので、彼女に好きだと言いったり頭を撫でたりした。本当に好きだったから、寂しくなくなればいいと心から思ったのだ。もう切るなよと心の中でだけ呟いて彼女を抱き締める。彼女は最初人に慣れない犬みたいにビクビクしていたが、次第に僕に甘えるようになった。ゴロニャンと猫みたいに。 古いテレコを実家で発見して、動くかどうか確かめついでに何でも話してごらんよと彼女の前に置いたとき、ぽつり出てきた台詞があの台詞で僕はびっくりした。切るまでは行かないけれど僕の中にも多少はある寂しさは彼女のお陰で大分和らいだのだし。彼女も少しは、楽になれたかと思っていたのだ。 外は雨で、部屋の窓を大粒の水滴が緩く叩く。彼女の肩に掛かった薄青いバスタオルが浮いている。また親と喧嘩でもしたのだろう、彼女が走って僕の部屋に来るときなんかそんなときだけ。「でも、ねえ、私のこと好きってホント?」「うん。それはホント」「じゃ、私のこと殺せる?殺してよ、今約束して。殺してあげるよって言って。愛してるなら殺してよ」「それはちょっと避けたいかな」「なんで」「好きだから」きっと僕達は永遠に分かり合えないだろうと、そんなことを思ってしまう。彼女の腕にはまた生々しい色の筋が一つ増えている、鮮やかな物を数える。赤錆、マゼンダ、薄紅、オールドローズ、モーヴ。五線譜みたい、君は音痴なのに。そして白い無数の線、盛り上がった痕。 なんでそんなコトするの、君も解ってないのかな。ただ僕に出来るのは黙ってキスをすることだけ、それだけ。 ごめんね、君を殺せそうにもない。
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