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第7回チャンピオンofチャンピオンバトル小説部門 Entry5

チャンピオン


僕は紹介された。
こちらが、チャンピオン、つまり、チャンプです。
世界チャンピオン、いや、むしろ宇宙チャンピオンと言ってもいいでしょう。
椅子に座った僕の鼻先にぬっと立つ、無闇に背の高い男。
金色のガウンを纏い、葉巻きを吹かし、腕組みをして、僕を見下ろす。
チャンプの風格、チャンプの眼光、チャンプの香水。
紹介してくれた岩田さんの言う通り、このオーラは宇宙級だ。
岩田さんは続ける。
あなたにチャンプを紹介したのは他でもありません。
実際に会ってもらい、認めてもらうためです。
つまり、彼はチャンピオンである、と。
いや、むしろ、チャンピオンとは彼である、と。
突然、部屋のドアが開く。
「あのー、面接会場って……」
僕と岩田さんとチャンプが一斉にそちらを見る。
「あ、すいません、間違えました……」
闖入者はバックオーライで引き下がり、ドアは元通りに閉まる。
チャンプの横に立つ身長159センチの岩田さんは進行させる。
いかがでしょう?
認めてもらえないでしょうか?
僕はあらかじめ手渡されていたメモを取り出し、棒読みする。
「ヤブサカでないこともないわけではない」
岩田さんは、なるほど、と一人で納得する。
実演をしてみせろと、そういうことですね?
岩田さんに葉巻きを手渡すチャンプ。
どこからかギターを持ち出し構える岩田さん。
そして唐突に始まるチャンプの「アメージング・グレイス」。
岩田さんのギター伴奏付き。
感動した。
ギターを抱えたままの岩田さんが訊く。
どうですか?
答えない僕を岩田さん。
もちろん、これだけではありませんよ。もちろんですとも。
チャンプは金色のガウンを脱ぎすてた。
鍛え上げられた見事なボデーは既に臨戦態勢だ。
まず、2メートル先のろうそくの火を一回の正拳突きで見事に消した。
次に、百貫のにぎり寿司を瞬く間に平らげた。
更に、瓶コーラを一息で飲み干し、ガマガエルのようなゲップを「ゲエー」。
新しく葉巻きを銜え直すチャンプ。
手際のいい岩田さん。ガウンを着せ、銜えた葉巻きに火をつける。
葉巻きを吹かし、静かに目を閉じるチャンプ。
岩田さんが、そのまま待つようにと僕に仕草で合図する。
目を開けたチャンプ。「木曜日の子供」という叙情的な即興詩を披露した。
俺は木曜日に生まれてどうしたこうしたという、そういう感じの詩だ。
どお…ですかあ?
チャンプの詩に感極まった岩田さんが涙目で僕に迫る。
「却下。認められない」
僕は最初の指示通りそう答え、席を立つ。


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