第14回中高生1000字小説バトル Entry2
ああ、なんてきれいなんだろう。
目の前で机につっぷし、すやすやと寝息を立てるこの人を見て、すうっとそんな言葉がうかんできた。
意外に長いまつげ。短い髪。筋肉がつき、しなやかに太い首。しろいTシャツに透けて見える、さらしのように巻かれた包帯。
とくべつ格好いい訳ではない。性格が良い訳でもない。
それでもなぜか、私はこの人に魅せられていて、その姿をこうして見つめている。・・・なんて、きれい。
彼はラグビーをやっている。けして筋肉隆々といった体型ではないが、それでも私の身体とは明らかに異質の肉体。
今は西日に照らされてこんなにも幼く見えるのに、グラウンドに立ったときの彼は「男」の顔をしていて、私は目を離せなくなってしまう。
ラグビーを荒々しいと言う友人を、私は不思議に思った。あんなにもしなやかな動きを、私は他に知らない。
その無骨な手から美しいスクリューパスを投げる彼は、ひどく官能的で妙な色香を漂わせている。
そうしてまた私は、この人に嵌ってゆくのだ。
いつも彼を見つめていたから、その視線の先にあるものに気付いたのは早かった。
私とは正反対の、華やかで明るい彼女。人見知りをせず、話し上手で人を笑わせるのが上手い、誰にでも好かれる笑顔で笑うコだ。
この人には、もったいないと思った。
それでも彼女もこの人を見ていることに気付いてしまったから、私はたった一人で恋をして、たった一人で失恋することになった。
ひどく心を乱しても、涙を流すこともできずに。
悲愴なほどの想いをこの人の背中に投げ続けて。
そして今も、この人の背中を見つめ続ける。
ああ、なんてきれいなんだろう。