第14回中高生1000字小説バトル Entry6
いつもの喫茶店、いつものコーヒー。
わたしは、ガラスごしに外を見ながら、ため息をついた。
「遅いなあ・・・・・」
彼が時間にルーズである、という事は承知の上だ。
いや、遅刻常習犯と言った方がいいかもしれなかった。
デートくらい、たまには時間より早く・・・・時間ギリギリでいいから、約束くらい守ってよ。
心のなかで、つい嘆いてしまう。
ガラスごしには、家族連れや、忙しそうに歩くサラリーマン、それに楽しそうに笑うカップルが見える。
あのカップルは、いつも時間どおりに待ち合わせ場所にきてるのかしら・・・・なんてひねくれた事を考えた。
「遅いなあ・・・・・」
わたしの口から、さっきと同じ言葉がもれる。
ただ今、10時四十分。四十分オーバー。
「お下げしてよろしいですか?」
「あ、おかわりお願いします」
このセリフを、もう三回はくりかえしただろうか。
お茶うけでも頼もうかな。
はじめからテーブルに置いてあった小さなメニューを見てみる。
『クリスマスシーズン!カップルでケーキを買うと三割引です』
・・・・・メニューをもとの場所へ置く。
よけい、むなしい。
早くこい!あのバカッッ!と、奇声を発したくもなってくる。
もう一度、ガラスごしに外を見る。
人通りの多い駅前。クリスマスの飾りがひしめいていた。
そこへ、遠くの方から、見覚えのある人影が走ってくる。
まさか!
街路樹で見えなくなったと同時に、喫茶店の入り口の方を向く。
「ご・・・ごめん、遅れた・・・・」
息をきらして、彼がはいってきた。
わたしの向かいへすわる。
「もう!これで何回目!?おっそ〜い!」
「ごめんってば。ちょっと寝過ご・・・・あ、いやいや、バスがなかなか来なくて」
まだ寝癖のついた髪の毛をかきながら、必死で言い訳をしている。
「まったく!・・・・で、今日は何でおかえししてもらえるの?」
「え!?え〜と・・・前はパフェで、その前はアップルパイだったから、じゃあ今日はケーキでもおごってやるよ。カップルだと、三割引だろ?」
彼がおもしろそうに笑いながら言った。
「あ!反省してない!」
「反省してるって!」
こんななにげない会話と、彼の笑顔がうれしくて。
わたしは、怒って帰るでもなく、待ちぼうけしてるんだ。