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第19回中高生1000字小説バトル Entry4

アイツ ト ワタシ

春が来て、あぁ灰色の 受験生・・・(五・七・五)

 もう新鮮なドキドキすら感じなくなったクラス替え。先生に言われた言葉が、頭の中で渦を巻く。
「分かっているな。お前らは3年生じゃない、受験生だ」
あぁ灰色の受験生・・・。胃がキリキリしちゃう。なのにダメかな、ちょっとだけ気になるアイツ。1年のときの好きな人、もう終わったと思っていたのに、何故だろう、ついつい見ちゃう横顔。あぁ、灰色の受験生なのにダメね、今年はガンバルって心に誓ったはずなのに。
 ある日、聞いたの。親友からアイツのこと。親友はアイツのこと好きだから、がっかりした顔してた。私、何も言わないでそんな親友からかってた。
 そんなときにあった、修学旅行。アイツ、告白したのかな。少し気になった。今は修学旅行に集中しなよ、自分に言い聞かせる言葉が虚しくなった。新幹線のなか、近くに座った私とアイツ。ドーナッツとポッキー貰って、お返しはラムネとキャンディ、ねぇ、優しくしないでよ。冷めたはずの恋心、戻したりしないでよ。ギュッと握ったコブシに、真っ赤になる顔に、潤んじゃう目に、バカバカバカって叫んでた。
 でも、サ。気づいちゃったよ。アイツ、やっぱり彼女のこと好きなんだね。新幹線の中で、別のクラスいって一生懸命一緒にいようとしてたよね。帰りの電車で、一緒の号車になったアイツと彼女、彼氏と笑って話してる彼女をじっと見つめてたね。切ないね。あまり感情がでない顔が無防備になってたね。クールに見える、アイツの心の裏にある、ホントの心かいま見た気がするよ。
 それ見て少し、じわっとしちゃう自分に、ちょっとだけ腹が立つ。あぁ、ダメだなァ。もう終わった恋なのに、もう終わらせた恋なのに・・・。
 目が潤んでる私に『どこか痛い?』だってサ。訳の分からないヤツだよね。やめてよ、やっと普通に話せるようになったのに。
 修学旅行が終わっても、なんだか胸の奥が痛いよ。灰色の受験生、アイツを気にしてる暇なんてないのにサ。チクショー、何で今頃?前はあんなに冷たかったじゃない。あぁ、胸が痛いよ。胸が痛いよ。

『アイツ ト ワタシ ノ キョリッテ アト ナンポ?』

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