第19回中高生1000字小説バトル Entry6
全くもう嫌になっちゃうよ。
ちょっとぐらいゲームやってたからって、二人ともそんなに言うことないのに。しかも、その内容がスプラッタものだからまたややこしい。
夕飯の席で僕は、父さんに諭された。父さんの話は「説教」ではない。でも楽しい話でもない(当たり前か)。今日は結構好きなコロッケなのに、あまり味わってる余裕がない。
僕はいつも、父さんの質問に答えられない。ごもっともなんだ。だから嫌なんだ。小学六年生の僕が歯向かうには難しい。
「ゾンビを倒す練習より先にお手伝いしてほしいなぁ」
「宿題もやらず、手伝いもせず。その代わりになる価値のあるゲームかな?」
以下、略。僕はたいへん耳が痛い。
「…もういいよ。ごちそうさまっ。」
僕は早々と食事を切り上げ、食器を片付ける。もういいのか、という父さんの声に小さく、うん、とだけ呟いてドアを閉め、ベッドに倒れこむ。
まったくいつも嫌になっちゃうよ。僕は食卓での父さんの言葉を考えたまま深い眠りに落ちた。
ここはどこだ?
薄暗い灯りの中、微かに水の滴る音。足元は膝まで水に浸っている。ここはどこだ?
だんだん鼻が利いてくる。独特の匂いが鼻をつく。下水の匂いだ。そうか。ここは下水道か。
とりあえず灯りの方へ歩こう。するとやっと僕の体も灯りの照らす範囲に入って、はっきりと確認できるようになる。さて、今は何時だ?左腕の時計を見ようとし……えっ、腕が…腐っている!
僕は急いで体を触った。どろどろした液体に覆われていて、腐乱臭がきつい。肌の色も元の健康的な肌からは程遠い。
誰か!僕は助けを求める。誰でもいいから、僕を助けて!怖い。自分が気持ち悪い。誰か普通の人間に出会いたい!
灯りの向こうにうっすらと人影。僕はそれをめがけて走った。だんだん見えてきたその影は、健康的な人間だ。彼は振り返りこちらを見る。その顔は、僕だ。僕が近づくと、彼は銃を構える。えっ?
自分の身を守る隙もなく、銃弾は三発、僕の体を撃ちぬく。ゆっくりと後ろに倒れた僕の、意識が途切れ始める。なん、で?…
はっ、と目を覚ますと、僕の部屋だ。急いで腕を見てみるけど、腐ってなんかない。夢か。よかった…。
朝食後、洗面所で歯磨きをしていた僕の後ろで父さんが囁いた。
「昨日の夢、怖かったか?」
僕は驚いて振り向く。でも父さんは一言も言わず出て行ってしまった。
僕はそれから本当にスプラッタゲームを止めたんだ。