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第21回中高生1000字小説バトル Entry11

隣の彼女

世間は夏休みと言うけれど、来年は社会人の為毎日就職活動。
家に帰る前に、自然に足がコンビニに向かう。
一人暮らしを始めてコンビ二に行くことが増えた。
涼しい店内、雑誌コーナーで今日発売の雑誌を手に取り読み始めた。
急に、学生時代の夏休みを思い出した。

僕の高3の夏休みは毎日夏期講習に通い、周りと同じように受験勉強を
なんとなくして終わった気がする・・・。
夏期講習が終わるのは午後4時。僕は帰り道いつも
同じコンビニで30分間立ち読みをするのが習慣だった。立ち読みを始めて
1週間ぐらいたっていつも隣で立ち読みをしてる人が同じ人だということに
気づいた。大学生くらいの女の人でいつも読んでるのはファッション誌。
肩まである髪は今時珍しい黒髪で、服装はいつもシンプルで白や薄い色が
多い。8月に入ると、毎日彼女に会う為に僕はコンビニに通っていた。
これが僕の初恋だったみたいだ。
雑誌を見ながら横目で彼女を見ていた。今考えると、ストーカーと
思われていたかもしれない。(笑)彼女が来るのは4時15分くらい。
10分くらい立ち読みをして、飲み物と時々お菓子を買って帰っていく。
僕は、そんな彼女をずっと見ていた。ある日、彼女が携帯を落として
拾ってあげたら『いつも、隣同士ですよね』と笑顔で言われた。
彼女も僕のこと見ててくれたんだ・・・。うれしかった。
あの時は、純粋だった。
夏休みはもうすぐ終わろうとしている。宿題は・・・まだたくさん残っている。
でも、僕の足はやっぱりコンビニに向かう。彼女に会う為に・・・。
夏休みもあと3日になった。学校も始まるとこの時間にコンビニに
来るのは難しくなる。
今度、いつ会えるか分からない。せめて、名前だけでも聞きたい!
僕は、その日彼女に思い切って名前を聞くことにした。
雑誌を読むフリをして小声で練習した。
4時15分・・・。彼女が来る時間だ。
いつも通り彼女が来た。
けど・・・僕が知ってる彼女ではなかった。
明るいブラウン色に染められた髪、服は赤のTシャツにミニスカート。
僕は話し掛けるのを辞めた。あまりにも彼女が変わったから・・・。
昨日の彼女で良かったのに・・・。
ショックだったけど、僕には山ほどの宿題が待っていてそれどころじゃなかった。
気づけば、秋、冬、そして大学入試の日。

あれから彼女には会っていない。
夏が来るたび、彼女の隣で立ち読みした日々を思い出す。
僕は、雑誌を元の所へ戻しお弁当を買って家へ向かった。

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