第21回中高生1000字小説バトル Entry2
僕はいわし。一生懸命生きている。最近は毎日がすごく楽しいんだ。
それはね、僕、彼女ができたんだ。その子はすごく優しくて、かわいくて。僕には本当にもったいないようないい子なんだ。群れのなかでいつも一緒にいて、毎日がすごく幸せなんだ。
ある日も僕らは一緒にいた。群れのみんなと泳ぎながらプランクトンを食べていた。
そこへ乱暴がやってきた。やつは僕と同い年だがすごく乱暴だ。きっと彼女を奪いに来たんだ。僕は気が弱いけど、彼女を守るため前に出た。
やっぱり戦いがはじまった。もちろん僕の方が弱い。皮が何カ所も剥がされる。彼女が心配そうにみつめている。
もう限界だ。僕は本当に思った。片目をとられ、皮を何十か所もはがされて、今にも水面に浮いていきそうだった。なのに僕はまだ一撃も当ててはいなかった。かすんだ片目であいてを睨む。今、留めがくる。
そんなとき乱暴の後ろにマグロが現れた。僕らは逃げた。しかし乱暴は哀れにも逃げ遅れて、あっさり食べられてしまった。
僕らは逃げた。一生懸命に。どうやらマグロは僕を狙っているらしかった。弱った僕は泳ぐのが遅い。彼女はそんな僕に泳ぐペースを合わせようとする。
(はやく!僕を気にせず先に泳ぐんだ!)
僕のささやきに横に首を振り、彼女は僕と泳いだ。そしてなぜか急にマグロはターゲットを変えた。
マグロは20匹ほど僕らの仲間を食べて立ち去っていった。幸い、僕と彼女は無事だった。本当によかった。これでまだしばらくは彼女といられる!舞上がる気持ちだった。
急に影になった。なんだろう、水面になにか大きいものが浮いているらしい。そのとき、僕らの下からなにかが浮いてきて身動きが取れなくなってしまった。たくさんのいわし達がどんどん水面にあげられていく。そしてとうとう、水から出てしまった。
苦しいっと思う暇もなくなにかに下ろされたらしい。すると何かに掴まれ狭い水の中に投げ入れられた。
「ねえねえ、これいっぱいあるのなに?」
外から人の子供の声がする。なぜか僕はその会話が理解できた。
「これはね、いわしってゆうんだ。弱い魚って漢字を書く。」
大人の男の声がした。
「今焼いて喰うか?」
「うん!」
急に僕の彼女の悲鳴がした。あたりに焦げた臭いがした。
「どうだ、うまいだろ?」
「うえ〜、にがい。」
「しまった、こげちまった。海に捨てろ、また焼いてやる。」
僕は、信じられなかった。