第8回3000字小説バトル結果
第8回3000字バトルチャンピオンは、
『爆進!』しょーじさん作に決定しました。
しょーじさん、おめでとうございます。
票を得た方もそうでなかった方も、次回でまた頑張ってくださいね。
感想票をお寄せいただいた読者の皆様ありがとうございました。
●爆進!(しょーじ)
- 文句なしに面白い作品です。あまりに面白いので繰り返し読んでいると、 最初の8行を下記のように入れ替えた方がすんなりと読めることに気づきました。
普段と何ひとつ変わらぬはずの朝、先日銀婚式を向かえた妻に見
送られ、いつものように会社に向かおうとドアを開けた矢先の出来
事であった。
「いったいどこのどいつだ。こんなもんを人の家の前に置いていっ
たのは」
私は憤慨して辺りを見回した。しかし人影はなく、雀がちゅんち
ゅんと鳴いているだけであった。
玄関を出たところに、それはあった。
しかし小説家は、面白くないと読んでもらえないし、逆ならあらさがしをされるし、因果な運命にありますな。 私も早くあらさがしをしてもらえるようになりたいもんです。
- 今回、しょーじさんの「爆進!」を推薦します。
読む人をわくわくさせて、どっぷり作品に引き込める様な文章力に感心しました。読んでいて夢中になれて、それでいて楽しく気分も悪くない。これは内容がどうとかではなく、作者の読者を引付ける上手さを感じました。
- ウエダー末吉さんの「天国まで」と最後まで悩みましたが、甲乙付けがたく、最後は文字数で決めてしまいました。童話の様な話しは凄く好きなんですが、登場人物(夫婦)のノリノリの性格に投票します。
- わはははははははは、馬鹿すぎ。
乗っちゃうか――乗っちゃうな。
撃っちゃうか――撃っちゃうね。
いやあ、イーグルで本当に良かった。ホーネットだったら目も当てられない。
●遺書を書く右手(伊勢湊)
- 今回、自分なりに優秀作と思えるものを5作品選ばせてもらいました。それは次の通りです。Entry 1 V サイン、Entry 8 土砂の中、Entry 14 遺書を書く右手、Entry 16 爆進 !、Entry 17 見切り師。どれも捨て難く迷いに迷いましたが、今回、伊勢湊さんの「遺書を書く右手」を推挙いたします。
- 全体的レベルが際立って高かった。文学としての要素を十分に満たしている。今回は全体的にレベルが高く、選ぶのには非常に苦労しました。
●夢恋愛(森田英一)
- 夢の住人はどこへも行かない。この「夢恋愛」で思い浮かんだのは、村上春樹著の「ダンスダンスダンス」に出てくるキキという女性。夢はもうひとつの現実かもしれない…そう、文中にも。でも、女性の「現実に怒らないことだわ」という強烈な言葉でもうひとつの現実感が薄れてしまったようで、それだけが残念でした。終わりの数行で、目覚めている現実で恋をして欲しかったな、主人公に。恋愛の夢で、”現実に怒らない”ってことは、自分の恋愛感情に、「いらだたない」ということかしら? 恋愛の物語にチャレンジしたい私にはよいお話でした。背景描写上手。
●消える(太郎丸)
- 今回は個人的に好きな作品が多かったと思う。完成度では首を捻るものもあるが『ヤマグチ君』『ジャッジメント』『天国まで』『土砂の中』などが好きだった。『消える』と『光子の結婚』が特に好きだった。どっちにするか最後まで悩んだけど、「作品傾向」から『消える』を選んだ。
気になったのだが、作者の主義や主張を直接読者に向かって語っているのが目立つように思う。そういうのが前面に出ているのは、それが正論でも、うざったい。説教されたくないんです。その部分をうまく、登場人物の行動や選択、何気ない台詞などで伝えて欲しいと思うわけだ。
●おかえり(石井和孝)
- 濃密で極めて個人的な世界。まるで狭いアパートの中で過ごす梅雨時のような、息苦しさが逆に心地良く感じました。前後の流れがよく分からない点も僕には好印象でした。生活の中のあるほんの一瞬を写真のように切り取った作品だと思います。
●サンダルウッドの香り(山森瑞穂)
- うーん、今回は悩みました。どれもおもしろくて。リアルさと強さ、それが凄いなって思ってこれにしました。