第1回詩人バトル
投稿受付───8月21日〜9月20日迄
発表───ご到着次第順次発表
投票───9月21日〜10月21日迄
結果発表───10月31日→28日に変更
参加される皆様に。
お手数ですが詩人登録と作品投稿は別メールでお願いしますね。
第1回詩人バトルチャンピオンは葉月みかさんの『母に捧ぐマリエ』に決定しました。
葉月みかさん、おめでとう! あなたが記念すべき第1回詩人バトルのチャンピオンです。
作品 | 票 |
---|---|
母に捧ぐマリエ(葉月みか) | 3 |
冷たい夜に降る雨(眠香) | 2 |
晴れているよ。(3104) | 2 |
過ぎゆくもの(矢野秀治) | 2 |
123456789(阿部瑞穂) | 2 |
グレイ(りんね) | 1 |
乾きの壺(TAKUYA) | 1 |
心象堕胎(水原優哉) | 1 |
bye-bye, bluebird(岡さやか) | 1 |
グラス(広河陽) | 1 |
●母に捧ぐマリエ(葉月みか)
●冷たい夜に降る雨(眠香)
●晴れているよ。(3104)
●過ぎゆくもの(矢野秀治)
●123456789(阿部瑞穂)
●グレイ(りんね)
●乾きの壺(TAKUYA)
●心象堕胎(水原優哉)
●bye-bye, bluebird(岡さやか)
●グラス(広河陽)
[番外編]マニエリストQの詩
一 赤鰯 赤鰯の烟 微かに漂う薄青色 鬼打豆を撒くほての上、 あえかなる身に微笑(ほほえみ)を泛ぶ。 忽闇に蓬莢の族(やから)来て、 三つ目の怒り知らぬとて 唇にする小唄 輪廻の旋律(メロディー)。 小槌とり 愛敬(あいぎょう)の嘘偽り、 立つ春。 今生の命、 族の追われし後日 小豆(こまめ)のひとつ。 |
|
三 輝く影 渇いたうなじを剃りおとす 薄紅色の細い剃刀 深い輪郭に眠る。 暗闇の演出者 双の眸の猫目石 今生の証と光明を。 海神(わたつみ)の匂い漂わせ エレキと逆巻きの時を刻む 褥の壷。 永遠の陽傘を目蓋の皮膚に 涯の海の紺碧の音 幼姿を呑みこむほどに捉え 薄紅色の小さき貝殻を漁る。 古に、数多の肉を貪った荒波 陽傘の中の輝く影までは 紺藍の深い色には染められぬ。 |
四 幼き鳥 鳥よ、幼き鳥よ すでに巣なき屋根に何故飛び戻る あの嵐の空に 鳥よ、何を見たのだ。 父もなし、母もなし、家もなし それでも、鳥よ 何故にその屋根を歩むのか 鳴くのか。 撒きし豆に、鳥よ 飛び去りて飛び返る 餌(え)ではないのか、家ではないのか それでは、鳥よ 一体、何が残っているのだ その黒い塗炭の屋根に |
五 間歇性悶着症 遠く近く フリュートの音が、緑の風にのり 木陰の透間を通り抜ける。 髪はさらりと横にわけ 洗晒の開襟シャツ、黒いズボンの折返し。 窓の外は 広くて静かな運動場。 人気のない廊下には 弾む声がいつかあったはず。 きっと 運動場の入口に、幼くてはちきれそうな 君の姿があるはずだ。 僕は思う このことは、ずっと続くんだ 永久なんだって。 ちびた鉛筆が。 ころりと転がった。 |
六 夢 冷たい褥の中 双の眸を閉じる瞬時(とき)、 忽然と目醒める宙に浮く遠方の陽炎 光輝の輪郭を縁どる。 紫暗の壷からむっくり その姿露れるを、 睡魔の邪鬼が充満する脳裡 官能の頁を愛撫する。 姿、 煙管(パイプ)の甘き香りの匂うが 透きた肉体。 海原を馳す主神の巨体、 褥の狭しと小魚が群る 共に眠るはただ一尾の魚。 |
七 美術家たち 緑の肉体に稚気を秘め そっと廻転する透きた頬、 遠く隔てし故郷の春を忘れ 飾られる精なき物体。 古に人の航路巡り見た 神秘の技が夢、 剥ぎとり摩替えられ 今では馴染みの玩具セルロイド。 綾なすは 根も葉も知らぬげな美術家たち、 エレキの波に調べよい。 遠目が紅き唇の笑み 薄物の微光の気球に舞う姿、 いつか見し人形の光箱。 |
八 歴史 紫が夜を勤務(つとめ)と染むるころ 盈虚の暦を知り尽くす 「退嬰」の星が現れて 無価値になれと唆す。 欧亜の空と時の間に 否応なしにひきこんで 戸惑いと憧憬の媚体、 傾く痼を弄ぶ。 麻薬もエレキも益なしと 糊塗の粘土で縁どりし 手鏡をひとつ用意して、 逆巻く時の宇宙の暗闇に 末世を刻む役割を 惜しげもせずに全うす。 |
九 整える羽毛 万能の術師、運行の透間を見せ、 倦怠の夕が隈なく コールタールの皮膚を反射して、 五指を茜に染める。 術師が食する犠牲(いけにえ)の生血 宙(そら)より紅絹の糸となりて滴り落ち、 全ての芥子粒たちの螺旋(ネジ)を巻き、 術師の意志の大劇場の中 無言の輪舞を唆す。 一方、軽やかなる鳥人、 今や機会(チャンス)と白き羽毛を整える。 待つは薔薇(そうび)の裏よ、安息の夜。 |
十 鉢巻 土人女が見極める あらゆる色彩のサンプルが如く、 怪しく花々が咲き乱れる 土手の上、 バビロンの塔が繰返す。 巨大に聳える建物の上方に 幾つかの断雲が白く流れる 影の道、 長い鉢巻を拾う。 巨大な建物の窓から 女が手を伸ばし、 紫色の長い鉢巻を掴取る。 停車場で、 妻は逸れた。 そして、妻は相変わらず 停車場で待っている。 |
十一 鳥の絵 沈黙の黒布を身体中に、透間なく顔まで覆い、 勾玉の歪んだ光を処々に飾りつけ、 繰返す無限の暗闇の反射の中で 執拗に絡み合う唐草(アラベスク)、迷宮の巨大な森影。 静寂と惣暗の舞台装置を最善と 舞踏家は踊る、爪先立ち、俯いて 足占いの歩、一歩、二歩 細い指先から放つ精気、無の愛楽(あいぎょう)の身振り。 渦巻く小さき閼伽を掌に たっぷりと満ちる夕影鳥が生血、 普遍の沼の顔に登場する。 優しい旋律を、鳥の血を 囁くように、語るよに 曇硝子の内外(うちそと)に、影の気配で謳うのか。 |
十二 眠ろう 眠ろう、永遠の眠りにつこう 明日は神が定めし休息日 眠ろう、母が囁く子守唄 柔らかな白いシーツの我が舟 風の叩く戸の音も、 硝子に映る木の影も、 全て忘れてひたすらに。 白い雪降る静かな夜に 母が語った夢物語、 白い布団の連絡船 いつか運ぶよ根室の里。 眠ろう、永遠の宇宙の夢 明日は霊知の神の休息日 白いシーツを撫で廻し タイムマシンの針あわせ 眠ろう、永遠の霊知の里へ 旅立ちだ。 |
どうも有難うございました。
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