第4回1000字小説バトル結果
●スケジュール
作品受け付け───5月16日〜5月31日
人気投票受け付け─6月1日〜22日迄(終了しました)
再投票───7月1日迄(終了しました)
結果発表─────7月2日予定
藤次さん作『ヴォイス』と紺詠志さん作『サーカス』が
共に感想票5点ずつで二つに割れ、再投票となりました。
結果まったくの1票の差により、この二つの優劣つけ難い作品に、
非情にも結論がくだされました。
第4回1000字チャンピオン決定!!
紺詠志さん作『サーカス』です。
紺さん、おめでとう。
藤次さん、素晴しい作品を有難う。
お二人に心より感動の拍手を贈ります。
★再投票結果
●サーカス(紺詠志)
- 今回2作品からの選択と言うことで、まずそれぞれの作品に関して思ったことなぞを勝手に書き連ねてみます。
●『ヴォイス』について思ったこと
主人公は一年ぶりに、ただし機械の声として戻ってきた妻に、今まで言葉に出来なかった想いを伝えてしまいますが、そのリアクションは妻のものではありませんでした。主人公は失望すると同時に、妻の代替を機械に求めてしまった罪悪感に苛まれます。
でも現実の妻はとうに世を去っています。主人公が追った妻の面影は、あくまで主人公の心の中で理想化された姿です。
「愛してた」その言葉をかけた相手が本当の妻であっても、実際どんな反応が返ってきたか分かりません。主人公が長年(たぶん)の夫婦生活の中で、本当に理解し合える関係を築いてきたのか、主人公はそうだったと信じているようですが、作品中に描かれているのはかつての妻への満足感ばかりなので、何だかちょっと不安が残るのです。なんて邪推する私の性格がひねくれているだけかも知れませんが。
しかしそれにせよ、この主人公は健全な人だと思います。
ヴォイスシステムは、商品としては社会に定着しているようですが、このような代物が世に出回る背景はいったい何でしょう。
主人公はヴォイスのその胡散臭さは感じとっていたから、一年間寂しさをかみ殺していた、その末の、出来心でした。そういう意味で彼は純粋であり健全であり、共感を覚えるのです。
●『サーカス』について思ったこと
この作品の解釈は色々あるようですが、私は素直にSF的文法から読ませていただきました。つまり、人格を持った機械人形が主人公として振る舞う世界です。鉄腕アトムの初めの方のエピソード、生みの親に捨てられてサーカスに売られるくだりを思い出させます。
ロボット達はみな自意識を持っています。彼らの思いに反して、団長は危険な曲芸をロボットに強います。観客はこれを手に汗握って見物します。団長も観客も、彼らに意識が存在する事に気付いていないのでしょうか。違うでしょう。人間たちは、彼らの心の存在を知っています。綱から落ちるメリーガールに悲鳴を上げるのは、彼女の外見が人間そっくりだから、そればかりじゃありません。彼らはただの人形じゃない、失敗した時の彼らの痛みを薄々感じているからこそ、そも観客はそれを見にきたのです。ただ、機械の仕事は正確すぎて、それでは刺激がありませんので、団長は――ある日ロープを揺らしてみせた。その決行日は、客の動員数と新しいメリーガールの購入費から割り出されたものなのかもしれません。
ロボットには意識がありますが、感情はカットされています。これも団長のプログラムでしょうか。文章上でも、ロボットの描写からは感情を示す言葉は意識して外されているようです。
かくも冷酷な団長。でも彼にも言い分はあるでしょう。ロボットには可哀想な事をしている、しかしそれは犯罪ではないし、客が喜んで見に来る限り、見世物を続けると。物語にはそこまでは記されていません。私の憶測です。でも人の心を持つにもかかわらず機械であるロボットと、そのギャップを娯楽として利用する人間たちの対立は明らかです。これは単に空想にとどまる話ではなく、それを正当化する社会構造さえ与えられれば、人間は他の人格の存在を望んで踏みにじる、そういった一面を持っているのだということが、極めて淡々とした筆調でもって表されているように感じられました。
●さて、
二つの作品はある意味、対照的なように思えます。『ヴォイス』の根底には「人の心は結局機械には換えられないのかもしれない」という考えが見え隠れするんですが、『サーカス』はまず人の心をもつ機械を前提に置き、むしろ人間への不信感をあらわしている感じで、どちらが正しいかなんてわかりませんが、私の理想というか、夢で語らせていただくならば、大体人間てもんはエデンを追い出されて以来(なんだあ? いきなり)、そもそも神よりは技術を相棒としてきた不届き者でして、相棒は悪くない、科学は常に正しく万能であって、悪いのはそれを使う人間の意識なのだ、なんてお笑い草かもしれませんが私はそう思いたいです。あくまで個人的願望ですけど。
(※まあ『ヴォイス』のシステムがどんなに高級になっても、妻のかわりになるとは私にも思えません。でも、それは機械でなくてもそうですよね)
文章としては、もちろん両作品とも特級ですよね。ただ、舞台設定を一から話さざるを得なかった『ヴォイス』に対し、『サーカス』はロボットのいる社会やサーカスの裏側のイメージといった型を用いることで余力を残しているように感じました。その分、既読感もつきまとうのですが。
というわけで、趣味も交えながら僅差で「サーカス」を推します。
- 再投票が初投票なのですが…。勝ち負けハッキリさせたくないほど、どちらも素晴らしい作品ですが、強いてどちらかといえば『サーカス』に投票します。
作品の持つテーマという観点からはこちらの作品の方が、伝わってくるものが大きかった様な気がします。でもどちらも素晴らしかったです。
- なし
- 今回、再投票ということなのでもう一度読み返してみました。うーん、甲乙つけがたいです。でも『サーカス』の方が深いので、『サーカス』に一票入れさせていただきたいと思います。
- 紺氏の『サーカス』に軍配。お見事!
- なし
- やはりこちらでしょう。
- 1000字再投票です。
- なし
- なし
- 『ヴォイス』と『サーカス』の二者択一なら『サーカス』に一票を入れたいと思います。
●ヴォイス(藤次)
- 『サーカス』『ヴォイス』とも、甲乙付け難いのですが、『サーカス』の文章で、ちょっと引っ掛かるところがあったので、『ヴォイス』に投票いたします。
- なし
- なし
- 藤次さん作『ヴォイス』推薦。『サーカス』『ヴォイス』を読み比べました。『サーカス』の意外性もいいですが『ヴォイス』の設定と奥深いものが気に入りました。『ヴォイス』に一票。
- やっぱりこれでしょう!! 再投票します。
- なし
- 前回投票時と同作品ですので、感想は省かせていただきます。
- 感動をありがとう。
- なし
- 何度読んでもオメメからおみじゅがでるじょー。(またまた泣いてしまった。ちくしょー)
(感想表記に1箇所間違いがありました。訂正しお詫びします)
★第1回目の感想票
●ヴォイス(藤次)
- 4日にわけて自作を除く全42作品を読んで、私の胸に響いたのはこの作品だけでした。限られた字数の中で、本当に自然に最後の台詞へ導かれていて、見事だと思います。
- 本作品はシーンとシーンの間に独特な間があってそれが作品全体の雰囲気を高めていると思いました。この作品を推します。
- この作品が一押しです。涙が出そうになるほど心を打たれました。文章もかなり読みやすく、すんなり作品に溶け込んで行けました。夫の言いようのない淋しさと後悔とが、ひしひしと伝わってくるようです。素晴らしい!! 心に残った作品がもう一つ。『スクランブル』(君島恒星作) 麻衣子ちゃんの無邪気さが、尚事故への悲しみを感じさせ、こういった犠牲は二度と起こしてはいけないものだと身にしみて感じるようでした。最後に全体を通して。"死"にまつわる作品を書くときには、どうか慎重になっていただきたい。作品の中であっても、死んでしまうのは悲しいものです。以上、身の程知らずな感想を、失礼致しました。
- いかにもお涙ちょうだものはキライ。作者の「泣いた? 泣いた? 泣いたっでしょー」って言葉が聞こえてきそうだから。おお?! 目からおみじゅがでて出てきたじょー! うぉおお! ! ! 鼻水と涎も出るー? 悲しいと、おみじゅがいっぱい出るジョー。って何だかわかんないけど、『ヴォイス』に一票。
- どちらかというと、乃南アサっぽい「女のどろどろした部分を書きたてる作風」が好きな、最近夫婦の会話がメッキリ減ってイラついている奥さんとかに支持されそうな作品だと思いました。(変な言い方ですみません…。)物語の運びに無理がなく、テーマも一貫しているので読みやすかったです。他に『サーカス』も意外性という点で好きな作品の一つ。押さえ気味の人物(?)描写が独特の雰囲気を作っていると思います。そうそう、『ぼくと彼女の山本情事』も捨て難いなあ。いろんな意味で言葉が頭に残りますよね、これ。
●サーカス(紺詠志)
- うん、うん。良い感じです。美辞麗句を連ねることなく、淡々とした文調が凄くいいです。ただ、ありのままを素直に描いた… この雰囲気が、じんわりとした読後感を醸し出してると思います。
- 『雲雀の鳴く河』もいい雰囲気の作品でしたが、誤字脱字が目立つ点と、構成上で読みづらい部分があった点で、一番に推すことはできませんでした。平たい文章でジム・ボーイの心情(?)を描ききった『サーカス』に票を入れます。
- 上手いなあ、面白いなあ、意外だな、という意味で印象に残ったのは『驢馬の憂鬱』『このアパルトメント』『夜間飛行』『ヴォイス』『国語の問題』『先生』『サーカス』『雲雀の鳴く河』『タヌキの気持ち』で、一番ケチがつけられないもの(つまり「上手い」「面白い(この場合は哀愁を行間に感じる)」「意外」の三拍子が揃っている)を選ぼうと思った。
- 最初、無心に読んで、もっとも心動かされたのが、この作品だった。後でいろいろな人の読後感を聞いて、「勝手読み」だったらしいと気づいたが、筆者の意図したところからは外れていたとは言え、感動の総量で推すなら、これである。
- 以前に読んだことがありましたが、全作品を読み終わってもやはりこれが一番好きな話でした。
●国語の問題(3吉)
- 『このアパルトメント』(HCE)とどちらにするか迷いましたが、テーマに共感できたのでこちらに。1000字小説の魅力を生かした作品はほかにも数点ありましたが、全作品通して読んでも頭に残っていた作品は『国語の問題』と『このアパルトメント』でした。描写力があり、最後まで一気に読ませる構成はすごいと思いました。
- 大変面白い作品です。楽しく読まさせてもらいました。
- みんなまとめて一等賞だヨ、という嗚呼勘違い的教育指導要領をおちょくった快作です。ネタの勝利だと思います。『サーカス』か推薦作品かで迷ったのですが、『サーカス』は以前に読んだことがあったため、初読のインパクトの点で『国語の問題』が頭一つ抜きん出たというかんじです。
- 前半の文章がテストの問題文だったというのがまず面白い。終盤の、受験生や試験官の様子を想像するとつい笑ってしまう。風刺もきいてるし、かなりインパクト強く、印象に残りました。最後まで迷った作品は『大切なこと』と『雲雀の鳴く河』のふたつ。他にも面白いのはいっぱいあって、ほんとに悩みました。
●驢馬の憂鬱(鮭二)
- 鮮やかです。想像の世界から現実へと移行させる、意外な場面転換。結局はその誤変換がそれほど奇妙なものでもないという落ちの表現の仕方。 きちんと印象に残るように「手帳」が使われていて、なかなかの計算だと、心地よく(?)唸りました。冒頭の無意味な文章を延々繋げているのも、結末の速いテンポと対照的でバランスの妙。楽しませていただきました。
- 一番インパクトが強かったので選びました。「オフ驢馬」良い言葉ですねぇ。思い出すたびにクククとなってしまいます。他では『ぼくと彼女の山本情事』 (モーゲン王) が良かったです。どちらにするか迷いましたが、筋が一番頭に残っているこれを選びました。
●変身せよ! スペクタクルマン(蛮人S)
- オチが分かっていながら、笑ってしまいました。一番楽しめた作品です。
- 今回初めてバトルの方に参加させていただきました。この22日間、他の方々の作品を読み返しては、拙作の未熟さに思い当たったり、まだまだいけるぞと鼓舞したり、かなり疲れました。まさに「バトル」ですね。そういう感慨があったので、自作以外への投票ということが、「リング」に上がっている人間の姿勢として正しいのかどうか、随分悩みました。いまだに結論は出ていませんが、何だかすーっと通り過ぎるのも気持ち悪いので、1票入れさせていただきます。今回のバトルはこれで終了、という感じですね。前置きが長くなりましたが、『変身せよ! スペクタクルマン』に投票させていただきます。結局、この場に何を求めるか、によると思います。確かにうまい作品はいくつかありました。しかし、仕事から帰ってお酒を飲みながら読んでいて、「うまい!」と膝を叩きたいとは思わないんですね。小難しい表現方法にうっとりとしたくもありません。できれば、くすくす笑いたい。ということで言うと、蛮人Sさんの笑いが一番しっくりと馴染みました。ってなことを書いていると、やっぱり自作を棚に上げて、という気分がふつふつと湧いてきまして、なんだか良く分からなくなってくるのです。
●ぼくと彼女の山本情事(モーゲン王)
- はっきり言って今回は難しいです。しかも作品数も多くて評も分かれるとは思います。だけど私が推薦するとしたら、やっぱり『…山本情事』です。性描写をこんなに明るく、いやらしく、微笑んで(爆笑して)読めるというのは、今迄経験した事がありませんでした。文学的にもいいんだろうなという作品もありましたが、やっぱりこれがいいですね。
- これが1番じゃなきゃ納得できん。最初から最後まで笑いっぱなしだった。王様ありがとう。
●あなたの希望(遠野ミナコ)
- ただ単純に、好きです。こーゆー作品。可愛らしい。カワイイカワイイ。
- 彼と彼女の関係が暖かな日溜まりみたいに浮かんできます。こういう作品好きです。他によかったのは、HCEさんの『このアパルトメント』。103号室の人。私の友人にも同じようにゴミを窓から投げているのがいます。本人曰く「楽」だそうです。きっかり1ダースのそれぞれ勝手な人生が詰め込まれていて、体裁も遊び心があってよいですね。そして同じくHCEさんの『夜間飛行』。子供の遊びというか想像力は絶大で、大人になんか絶対に邪魔されたくはない自分だけの世界です。蛮人Sさんの『 変身せよ!スペクタクルマン』は、なんちゅーか、「踊る大捜査線」と特撮ものをたして割ったようなドタバタなんですが、なにも考えずにすんなり読めたんで、そういう意味では良かったですね。
●雲雀の鳴く河(鹿野まどか)
- 『驢馬の憂鬱』(鮭二)『ヴォイス』(藤次)『雲雀の鳴く河』(鹿野まどか)で迷います。したくないけど比較するには、『驢馬の憂鬱』は技術面で他2作に劣ると思いました。『ヴォイス』か『雲雀の鳴く河』。じつに難しい選択ですが、より個性的な描写をとって『雲雀の鳴く河』の辛勝とします。
●ひきがね(京木倫子)
- 贅肉のないシンプルさとストレートな展開が、他のどの作品にもない、澄んだ力強さを生み出しているように思いました。
●なし
- いいと思ったのは、『サーカス』『ヴォイス』。どちらも安定していて、安心して読めるが、突き抜けた感じを受けなかった。それは個人的な感覚の問題であると思うが。

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