第4回3000字小説バトル結果
●作品受け付け──────3月5日〜4月28日迄(終了)
作品発表────────5月1日〜
人気投票受け付け────5月1日〜5月28日迄(終了)
結果発表────────5月31日
第4回3000字バトルチャンピオンは
鮭二さん作『磁場コップ』に決定です。
鮭二さん、おめでとうございます!!
●磁場コップ(鮭二)
- 素敵な声でスマートに登場しておきながら、人を不安にさせるだけさせておいて、いざというときには助けてくれない磁場コップ。いえ、彼にはもともとそんなつもりはなかったんです。あたしがちょいと頼んでおいたの。こういうプレイ、一度してみたかたんだもの。よかったわあ、きっかけ作ってもらって。ああ、こんなの初めて。……なんてこともないんでしょうけど、ただの変態小説なんでしょうか。まったく馬鹿馬鹿しくて感想書く気にもなりません。
- 『磁場コップ』に投票します。理由は「読んでいる時間が快感であったから」。本音を言うと、いつものチャンピオンだから入れたくなかったけど(笑)。他に候補として考えたのは『ほくろ』と『濡れ落葉と呼ばれる頃に』です。『ほくろ』は、アイデアは一番面白かったのですが、出来映えがもうひとつでした。『濡れ落葉と呼ばれる頃に』は、読みやすく、しみじみとさせられましたが、もうひとつ説得力に欠けました。これはもっと字数をかけて、人物の細部を描き起こした方が良い作品になるのでは、と思いました。3000字では書ききれないものだと思うのです。
- 読み終わった直後「馬鹿ヤロー」って叫んでしまったではないか。「コノヤロー」。あっ、行ってもうた。
●価値(厚篠孝介)
- その価値観ということの価値を考えさせられる作品。価値観というのは、後からついてくる。価値ということが結果ではなく原因だといった様な、彼の意思が伝わりやすい作品。彼の作品は、情景描写が巧み。今回の作品でも、さすがと言ったところ。
- 3000字投稿作品読ませていただきました。 今回は過去最高の23作品!(とは言っても4回目ですから(笑))
ところでこの投稿作品なんですが、ジャンルが規定されていないんですよね? 3000字であればどのジャンルであろうとOKということだと思うのですが、23作品ほとんどがジャンルがバラバラなんで、それはそれでおもしろかったです。ただ、それで優劣つけるのは難しいかな、とおもいまして・・。
僕が1票入れたいのは厚篠孝介さんの『価値』ですね。とっても奇麗な作品だと思います。純粋に読んでいてなんだかその光景が目に浮かんで来るようでした。
僕はショートショートのつもりで書いていましたから、すごく現実感が乏しいんですよね。オチがないと作品にならないという、一種の固定観念さえありましたから。「あぁ、こういう書き方もありなんだ」って感じでいろいろ勉強になりました。また ぜひ参加させてください。感想票をお寄せくださった皆さんご苦労様でした。感謝。
●その恋、買います!(百内亜津治)
- 特に目を惹かれたのは、『歯痛』『台所の情景』『その恋、買います!』『あかり』です。その中で『その恋、買います!』は、皮肉めいたアイデアが好みで一押しです。狭いオリジナリティに拘泥する主人公。金で買える程度のレールに乗って優越感に浸る先輩。色々なものに通用しそうですよね。
●おかえり(更羽)
- 今回はじめてこちらのサイトに作品を投稿することにしました。作品を選んで投票するのもはじめてです。ですからどのようなことを書けばいいのかわかりません。適当に書きますので、あたっていない部分は読み飛ばしてください。
私事ですが、何年か前にそれまで自分たちが住んでいた家にいられなくなり急遽、転居した経験があったので、この作品に共感しました。考えてみれば、日本中にはいろいろな理由で、家屋を置き去りにしてよその土地に転居しなければならなくなった人たちが大勢いるのです。近所に住んでいた人が郊外に引っ越して、随分経ってから、あるとき偶然その人にあって、一枚の写真を手渡されました。その写真は、色のあせた古いもので、母と弟と妹が写っていました。何十年も前の写真です。その写真はどこで撮影されたものか分かりません。でも、そんな過去の記録が前触れもなく現れると、不思議な気持ちになるものです。
この『おかえり』は作者の実体験に基づくものか、完全なフィクションなのか分かりませんが、もし、完全なフィクションだったら、その想像力と描写力はかなりのものだと思いました。(どうか実体験でありますように)(もしかしてこれは嫉妬心か)
まず、冒頭の書き方が簡潔で素晴らしいです。この作品がどういうものか最初の一文ですべて分かってしまう、そういう一文が書けるというのはこれは相当に凄いことです。しかも登場人物まで一文の中にすべて収まっているのです。「わたし」と「祖母」と「取り壊される家」。完璧です。
夏の過疎の村。それは悲劇的な詩歌。柿本人麻呂。(飛躍しすぎで失礼)
壁がトタンじゃ貧しい。くすんだ青なんて最低。奥行きはあるけど横幅がない平屋なんてみじめ。これは高度経済成長する前の日本の象徴ですね。(日本国の象徴は天皇だけど)(ちょっと関係ない)玄関はガラスの引き戸だったら、もうおしまい。
幼いころの自分とは……
それは結局自分探しの旅
でも自分の正体は永遠に分からない。
序破急の展開もなかなか素晴らしいと思いました。ただ読者としては少女とわたしの「やりとり」をもう少し読みたかったと思います。この作品3000字に拘らなければ、もっといい作品に仕上がったろうなと感じました。字数制限の悲しさというのでしょうか。もったいないとも思います。
●ほくろ(佐藤ゆーき)
- 文句なしに面白かったです(短いコメントですみません)。
●雨、のち6月(うめぼし)
- 今回は皆の指摘のとおり本当に良い作品が多かった。『雨、のち6月』以外に良いと思ったのは『台所の情景』『遠い残照』『空を飛ぶその男を見よ』の3作品だ。これらは読み手をぐっと引きつける魅力があると思った。
●濡れ落葉と呼ばれる頃に(竜胆姫)
- ゆっくりと展開するストーリーに人生の重さを感じました。幸福というのはこういうことだと納得させられる作品だと思います。
●妻の恋人(一之江)
- 今回は一之江さん作『妻の恋人』、 akohさん作『台所の情景』、成田秀人さん作『特ダネ』の3作品が印象に残りました。3作品とも安定した文章で3000字を描き切っており、物語に入りこむことができました。残念ながら、多くの作品は3000字という文字数の前で萎縮しているように思えます。あるいは精一杯の背伸びをしている印象を受けました。『妻の恋人』の面白さは、センスよく選ばれた言葉の使い方にあると思います。「あいびき肉」とか。その言葉への引っ掛かり方が、出口のない「佐伯」の思考回路と呼応して何とも言えない可笑しさを醸し出しています。サスペンス仕立てになっていますが、その謎解きに捉われるとこの作品の面白さは分からなくなってしまうでしょう。そこがまた惜しい点でもあります。
『台所の情景』は不条理な状況を硬質な文体で描き切っています。決して笑わせようとしない態度が笑えるのです。面白い言い回しさえすれば笑わせられると思ったら大きな間違いです。そういう作品が実に多いのです。最後の教訓めいた言葉は余計だったと思います。そんなつもりで読んでたんじゃないのに、と言いたくなります。
『特ダネ』は最近の1000字も含めたバトルの中で新鮮な印象を受けました。こういう話がひとつふたつあるとずいぶんバトルが楽しくなります。文体が安定していて、テーマや構成もしっかりしていると思います。ただ、強烈な物語の核になるものが足りないように思います。それがないと、史実としての、あるいはその時代背景の面白さを小説が上回ることは難しいと思います。
以上を考慮の上、文章自体の面白さを堪能できた『妻の恋人』を推薦作とします。
●台所の情景(akoh)
- 今回の自分なりの最終選考結果は、次の通りです。
第4回3000字『特ダネ』成田秀人さん
大正末期頃の設定というところに、現在とは違った新鮮さを感じました。
『雨、のち6月』うめぼしさん
本当は父を亡くしている女性との恋。結婚しようと思っている女性の家族構成位は聞いておくべきだとは思いますが、泣かせてくれました。
『台所の情景』akohさん
なんといっても設定が面白い。
『妻の恋人』一之江さん
夫が不倫していた事を妻は知っていたが、死んでもそのことを云えなかった女性の、せつなさが男性にはちょっと怖い気がしました。
どれが選ばれてもいいんですが、笑わせてくれた、akohさんにします。