第16回1000字小説バトル結果
第16回チャンピオンは
羽那沖権八さん作『ふそくのじたい』に決定です。
おめでとうございます。
●ふそくのじたい(羽那沖権八)
- 羽那沖権八さんの『ふそくのじたい』を推します。軽い文体は好き嫌い分かれるかも知れませんが、シンプルな構成で小気味よく効果をあげていると思います。ジャンルとしての1000文字小説を考える場合、こういった作品を一定のレベルで書き続けるこの方を評価したく思います。
- 久しぶりに楽しくおかしい話。さらりと上手い。
- 単純に、全部読んだ中で、一番おもしろかった作品です。1つ1つの文章も洗練されていて、ムダな部分がないなぁと思いました。発想と描写力という、2つの観点から総合してみても一番。発想だけなら、『プッシュ!』『困惑の性癖』『見えないオレンジ』なども好みだけれど、どれも今一つ足らない気がしましたので、この作品に。
- 言ってみれば、多くの公務人のずさんな悪が世の中と地球を痛めつけているのだ。呆れ返るような浮世離れした言い訳をしゃあしゃあと言いのけて肥えていく役人や公務員。と、むきになって言えば青臭いが、そこのところを羽那沖さんの『ふそくのじたい』は、へをこいたように笑い飛ばしてしまうところが何とも洒落ている。ただ、これは小説なんだろうかという疑問は残った。
●SLOW MOTION(リュウタ)
- 私の高校生のころ北方っているという言葉が流行ったことがあった。北方さんとはまったく違う、でも北方っている。少しだけ読もうと思ってページをめくるとそのまま次、次は? と呼んでしまう。リズムがあるようなそんな感じでしょうか? 懐かしくもあり新しくもあり、バイク乗りのバイブルになるかも? もう少しソウルフルであれば。
- 自分と同じような体験が書かれていたので推薦します。
- デビュー作品掲載おめでとう! 不思議な感じがする作品ですね。最後の3行のフレーズがなかなか良いと思いました。次回作も楽しみにしています。
●見えないオレンジ(伊勢 湊)
- 目に付いたのは『見えないオレンジ』です。最後の段落やタイトルにもっと気を使って欲しかったですが、今回の作品の中では洒落た雰囲気があって、一番気に入りました。
- 一滴の水よりも微かな希望が人間に生命力を与える。書きたいことがはっきりと主張された作品だと思います。渇いた砂漠を漂うオレンジの香りの描写が爽やかでした。
●困惑の性癖(akoh)
- 抜群に完成度高かったとおもいます。1000文字を持て余しもきつすぎもせずに絶妙なバランスではないでしょうか。ひっくり返すタイミングもいいカンジです。うまいなああ。「騎士」も面白かったんですがもっと練ったほうがいい気もする。どんどん騎士から離れていく過程がちょっと弱かったのかなあ。
- 今回は作品は面白く読ませていただきました。それだけ参加作家のみなさんのレベルが高いのかも知れませんが、それに反し、どんぐりの背比べという感じもあります。これは一押しという作品が見当たりませんでした。それでも選ぶとしたら、『眠れる恐竜を揺り起こせ』『困惑の性癖』『首』『Dear friend』『夢と現実』『ビデオリサーチ』『ひあそび』です。『Dear friend』『ビデオリサーチ』『ひあそび』の3作品については、読ませるモノを書くという事については、文句なしです。もっともこの3人ともチャンピオン経験者ですから、当たり前かも知れません。しかし今回この3人の作品については、今までの作品と比べると少し物足りなさを感じましたので、今回の投票からは外させていただきます。そして今後の活躍を期待して、特に面白かったものを推薦しますと、1円玉で、1億円というふざけた要求を出して笑わせてくれた、『困惑の性癖』に投票します。
●首(仏)
- この作品が自分の感性にぴたりとした。終わりの展開の読めることが清々しくも怖ろしい作品はこれだけだったと思う。
『ふそくのじたい』羽那沖権八作。次点でこれがよかった。とにかく、笑えた。オチだけ考えついている作品はあったけれど、オチそのものが生き生きとしていて、そこでも笑えた。
- 不思議な魅力を感じました。これといったストーリーはないように思うのですが、たしかにそういう時間がある、という存在感を感じさせる文章だと思います。妙な余韻が残る作品だと思いました。
●Entry#28
- どっしりとした重み、力、小説だけが持つ表現の強みを十分に書ききった作品。
- 全作品のなかで一番共感できました。
●ひあそび(一之江)
- 理由は僕の好み、ですかね。1000字ということなのか、表現のテクニックと奇抜なストーリーに固執した話が多い中"感情"を感じ取れる物語ですよね。
- 多くの人が、この作者の力量を認めているのに、なぜか最近票が集まらない。不思議なことである。無冠の王者とは、響きはいいが、何しろ人はカスミだけでは生きていかれぬ。そのうち嫌気がさしてぷいっと居なくなってしまうのでは、と危惧するのは私だけだろうか。単純に読めば分かる。今回もこの作者の作品以外考えられない。
●シネマコンプレックス(ヒョン)
- 今回はどうもパッとしないサエない作品が多かった。まああえて推すとすれば「シネマコンプレックス」でしょうか。
●闇(天野 幾)
- 『愛の仮定法現在』ラストのシュールな笑いに至るまでの流れが良いですね。その過程の、仰々しいまでのドラマチックな部分がもっと上手く表現できていればさらに良かったと思います。
『消しゴム』消しゴムの独白が思わず身につまされますが、所詮消しゴムなので暗くならないところが良いです。
『超人は辛いよ』「空気との摩擦であろうか。」で爆笑。「あろうか。」ですよ。事態の意外性を冷静に分析する主人公のモノローグが最高です。もっと強烈なオチが欲しかったと思うのは贅沢でしょうか。
『闇』映画のクライマックスシーンのようで、カッコイイの一言。不必要な状況描写もなく、緊迫感を上手く表現できていると思います。完成度で考えると突出した作品ですね。一票はこの作品に。
●青の誘惑(蛮人S)
- 作り物くさい、いわゆる小説っぽい作品や、あるいはやたらに人を殺したり自殺してしまう作品は僕は推さない。そのように考えた末に、この作品はやはり小説だという気がするのだが、けれども面白いのだ。というわけで口惜しいけれど推薦しました。
●献花(うめぼし)
- シンプルな内容とすっきりした文体で、屋上の空気感がうまく表現されているように思う。
■マニエリストQの感謝とお願い
感想票を送っていただいた皆様、有難うございます。心より感謝いたします。あれだけ多くの作品を読破することは大変なことであり、非常な努力を要する難行であると思います。しかし、裏を返せば、それは、1000字を読んでくださる方々が必ずいらっしゃるということであり、バトル形式効果の一つでもあるわけです。バトルに参加される作者の皆様はそこの辺りを考慮の上、出来る限り全員の感想票投票を目指してくださることをお願い申しあげます。

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