第36回1000字バトルの結果は、有馬次郎さんの『バスドライバー・3』がチャンピオン作品と決まりました。
皆さま、ご投票いただきありがとうございました。
※投票いただいたにもかかわらず、こちらに感想が掲載されていない場合は、至急ご連絡ください。
| # | 題名 | 作者 | 点数 |
|---|---|---|---|
| 38 | バスドライバー・3 ★ | 有馬次郎 | 4 |
| 7 | 時計男 | オキャーマ君 | 3 |
| 10 | 迎え火 | 立田 未 | 3 |
| 45 | てるてる坊主、ふたたび | 川島ケイ | 3 |
| 9 | 秘密ロボット | ひょうたん | 2 |
| 27 | 絶光 | yucca | 2 |
| 31 | knotty | moku | 2 |
| 35 | 女将のことで | アナトー・シキソ | 2 |
| 3 | フットボールイズ「ライフ」 | 佐藤 ゆーき | 1 |
| 19 | 年上、年下 | バージャイ | 1 |
| 21 | 『顔のない世界』 | 橘内 潤 | 1 |
| 24 | 島 | 比良木直太 | 1 |
| 28 | 雨の声 | うなぎ | 1 |
| 32 | 黒い雄牛の夢 | さかな☆ | 1 |
| 34 | 一休み、迷惑候 | マーマレード=ジャム | 1 |
| 39 | Promise Land | さとう啓介 | 1 |
| 43 | 孔雀 | るるるぶ☆どっぐちゃん | 1 |
| 44 | 猫の居ない風景 | てこ | 1 |
このシリーズは結構好きな部類だ。シュールな笑いとほのぼのとした感じがいい。めちゃくちゃだけど素直に生きるバスの運転手の姿、そこがかっこいいと思う。
……うわ、なんかいつの間にかシリーズ物に。
自信満々の記憶が新しかった。戦略勝ち。
馬鹿馬鹿しさも、より増していて○。
他に印象に残ったのは『あたま手術』。
ねこぢるの漫画にありそうなネタだ。もっともアレの場合は、患者が死ぬ前に「ピー、ガガガ!」状態になったりするけど。
今回は早いうちに一通り読んで、投票時にもう一度読むという方法をとりました。タイトルを見て内容が思い出せるもの。場面が思い浮かぶもの。という基準で選びました。その結果、
28雨の声……なんだかわからないのですが、夜の雨と声の恐怖の印象が忘れられないのです。
35女将のことで……舞台です。観客としてでなく、店の客Aとして一緒の場所に立ちたいです。
38バスドライバー・3……おにぎりを信号の合間に握るというシーンが忘れられません。
40あたま手術……ロボトミー手術を思い出しました。淡々としてるから怖い。血もいっぱい流れたでしょうに。
45『てるてる坊主、ふたたび』……何で雨降るんだよう!雨でもパンダみましょうよ、パンダ。
の五作品に絞りました。
さて、投票は、38バスドライバー・3に入れたいと思います。この作者のこのシリーズは特別面白いとは思ってなかったのですが、今回の作品は「雲は白い綿菓子さ」からバカバカしさ全開で好きです。おにぎりを握るいうことは、白いご飯も持ちこんでいるわけで、料金箱の上に炊飯ジャー置いてるのかな、とか想像しました。客の雰囲気も、のほほんとよいです。今回はこれです。
人の小説は読まない主義だったけど、読んだら結構おもしろかった。
特にこの小説は、私好みであった。ハンドルに御飯粒がついていたら、ヌチャヌチャしてこたえられませんな〜。ウヒヒ
ザッツエンタァテーイメント!
(華々しく、拍手。)
次点 「一休み、迷惑候」 マーマレード=ジャムさん
話は理解をとうにこえているのに、惹きつけられる。
クミンが志垣がきのこがポプラが海老が(and so on)
直接意識に訴えてくる。
これっていわゆるサブリミナル効果? ??
見事な完成度でした。
今回は「時計男」!
カホリ高い文語調、テンポ感、期待通りの着地、さすがです。
グーです。グーです。
次点「黒い雄牛の夢」
舞台がベランダだから、ってワケではなく・・・
寓意のある夢と父への思いがリンクしていて、
すれ違い父娘の心のアヤがやるせなくステキでした。
他にも「孔雀」「絶光」「ハワイは本当に近くなった」
「年上、年下」「迎え火」などが好きでした。
情景描写が見事です。読んでて気持ちいい。解説文が必要とされるところのみ簡潔に書かれている。しかも書きすぎず、読者が想像する余地を残している。絶妙。擬態語なども、全体の雰囲気にマッチしていて良い。
で、最後の最後に明かす、主観の主。ひと言、やられました。いやぁ、お盆だねぇ。
今回は技能賞って意味も含めて、こちらの作品に投票させていただきます。
今回最後まで悩んだ作品が以下の3点でした。
『迎え火』父親を忘れずにいる母子家庭の様子がなんとも微笑ましくて、素敵でした。
『孔雀』生きるってどういう事だろうと問いかけて、それはやっぱり自分で探すしかないんだよと言っているようで、なんだか久しぶりに重厚な感じがしてしまった。
『てるてる坊主、ふたたび』平凡な主婦の小さな出来事っていう感じが、妙に読後感を爽やかにしてくれた。
しかし上記意外にも、最近読んでいいなぁと思う作品が多くなったと思います。
悩みに悩んで、決められないので、チャンピオン未経験者である、立田さんの『迎え火』に投票します。
『夏』でありながら『夏!』ではなく、皮膚を焼くような
夏の太陽は感じないけど、夏の暑いからこそ感じる
涼しさを感じます。とても心地よいです。
全然嫌みがなくて、読後感がとてもよかったです。
若い男の子のセリフもそれらしいと思いました。
時期も時期だけに、妙にしんみりした作品が心に残った。
3「フットボールイズ「ライフ」」 佐藤 ゆーき 938
きっとあの6月の一ヶ月、日本のどこかでこう言うことが本当にあったよ!
10「迎え火」 立田 未 1000
ものすごく好きな作品。でも、己の死亡云々の記述は嫌。
そんなこと書かなくて(言わなくて)いいのに。
ちゃんと読めば分かる的な表現で伝えて欲しかった。
14「アフガンの少女」 黒男 1050
泣かす。でも、アフガンの少女の死の「生中継」がホントにあれば、スゲー嫌。
44「猫の居ない風景」 てこ 1000
猫好きなんで。て、言うのは理由の一つに過ぎない。
そうさ、人は、泣くきっかけを求めてるのさ!
45「てるてる坊主、ふたたび」 川島ケイ 1000
女! 女! ああ、大人の女!(になろうとしている女?)て感じ。
46「神さまの二つの歌」 Ame 1000
男の子、女の子、世界と、アート。そして、愛。
下手な学者の論文より、ずっと、核心を突いている。
一つの真理。
以上の候補作から文字数が1000字ぴったりになっていないのを除外。
44は一カ所書き損じている?ので除外。(「…不思議で猫であった…」)
46は最後がちょっとアレなんで、今回は45を。女を! はい。
「時計男」、「赤い自転車」、そしてこの「てるてる坊主、ふたたび」がお気に入りでした。ほかにも、発想の良い作品はいくつか見当たりました(「傷」「迎え火」など)が、1000字でしっかりとストーリーになっているという点で、この3作は抜き出ていると思います。それで敢えて、1作を選ぶとすれば、好みで「てるてる坊主、ふたたび」にします。前段での伏線(小さい頃のてるてる坊主と映画)、それが最後の場面にしっかり活かされていて、うまいなあと思いました。時計男も全体のトーンが、書こうとしている内容にマッチしていて良かった。おどろおどろしいコレクターの登場も、1000字という中では良くできています。赤い自転車は、同じ父親としての共感を覚えました。こういう感覚や記憶をくすぐる文章も好きです。あと、惜しいのは「迎え火」と「傷」かな。両方とも、ネタは新しくないのですが、文章はうまい。1000字ならもっと鋭い切り込みがほしかったと読者としての欲張りな期待を書いておきます。
読みやすくて、物語にスーと入っていけた。
オチを期待させる展開でよかった。
二行ずつ、さくさくっとしていて気に入りました。
結構笑えるとこりもあったし、でも、最後にちゃんとまとめあげましたね。
あのままダラダラ博士と助手の対話だけだったら問題だけど、それもなく、良かったと思います。
ラストが何とも言えず良い味を出している。
最後に目が見えるようになったよーとかいうラストでなくて本当に良かった。
今回面白かったのは、Ent27「絶光」、Ent45「てるてる坊主、ふたたび」。
ざっと読んだ後、再読したのがこの2作品。
「絶光」
内容が曖昧なので、あまり好みではないのだがとても心に残った。
淡々と主人公の願いを書き、視覚以外の感覚でのみ彼女を語る。映像ではなく、触感や聴覚で彼女を想像した。そして、最後の四行で落ちていく。
彼女でありますように。
「てるてる坊主、ふたたび」
主人公の心情はあまり描かれていないのだが、とてもよく伝わってきたような気がする。てるてる坊主をパンダにするなどのこだわりもかわいい。
「てるてる坊主、ふたたび」は面白かったのだが、タイトルがいまいちなことより次点へ。
今回は「絶光」へ一票。
mokuさんの『knotty』を推します。
あまり小説としてのスタイルを成していないので、それだけで抵抗を感じる方も多いと思いますが、構成も内容も随分いけてるですよ。とはいえ読みづらいのは確かですが。
優子ちゃんのくだりだけ意味不明な表現が多いのは、彼女に対する多少屈折した感情がそのまま現れてしまったのだろうか。わりと作者自身の事が書かれているのかもしれない。
「これは小説として優れていますか」と質問されたとしたら、私は俯いちゃうかも知れません。そういう理由で投票して居ませんから、ごめんなさい。
只、世界に数多ある欲望の対象候補、絵や食事やジュースやワールドカップや、そういうものと一緒のスタートラインにおいて、「快楽を与えてくれるもの」として考えた場合、今の私に丁度良かったんです。まあ早い話「食べたいものを食べる様に、読みたいものを読もうと思い、そして私の欲望を偶々満たしてくれたのがこれでした」という感じ。
「偶々」ですけど、それは駄作で満たされたりはしませんから、勿論基準はクリアしておいでだと思うんですが。
この不真面目さが何だか浮遊感があって、宜しかったです。
本音を言うと投票したくないです。ものすごく投票したくないです。スタイルがあまり好きになれなくて、素直に一票を投じたいとは思えないのです。けど他にも投票したいような作品はなく、それで目に付いたものを再読し、再読するたびにひとつずつ削られていって、そして踏ん張ったのが、この作品でした。
というわけで投票いたします。ひとつひとつのセリフや描写は気が利いていて、いいと思います。小声で食い下がる女将が、好きです。
「コミュニケーションの断絶」
なんてものがこの作者の作品に描かれている気がする。
まず冒頭で異者が現れる。
で、牛にしても(前回)書き割りホテル(前々回)にしても、女将(今回)にしても、登場人物はその異者たちとの会話がうまくできない。そして異者たちはその異者ぶり(ヘンな言葉だ)を隠しもせずに、でんと構えて現れる。牛のように、女将のごとく。
怖い。
そんな世界を「僕」とミカは渡り歩く。ところが前々から気になっていたけれど、どうもこの二人、お互いのことが分かってないくさい。ミカは謎の力で女将を撃退したけれど、「僕」はそれがなんだかよく分からない。この二人は一応愛し愛されてるわけだけど、互いの生年月日とか出身地とか趣味とか思想とか知ってるのだろうか。どうも知らないくさい。
けれど二人は旅をする。お互いのことあまり知らないけど一緒に過ごす。「だってそれが恋ってもんじゃないですか」なんて声が聞こえてきそうな本作品。
リアリズムの小説が安易な恋愛観に流されちゃったり、奇妙な「真剣さ」にとらわれているとき、〈僕〉とミカはさっそうと旅をしてみせる。
なんだか心強い。
そんなわけで、アナトー・シキソさん「女将のことで」にさっそうと一票投じてみる。
サッカー好きの自分が死んだら、こんな風になるのかもな、と思いました。
中盤のサッカー知識も、素人の人間が調べたらこんなことばかり勉強するだろうし(フィーゴの寿司とか)
面白かったです
すごくカッコ良かった!
なんかいい意味で「男臭い」作品でした。
文章は荒削りな中にキラッと光る表現が随所に見受けられ
これからが、期待できそうな作品だと思いました。
この方の他の作品も読んでみたいです。
例によって締め切りギリギリレッドゾーンになってからこれを書いている。
今回は読み応えのある作品が多かったように思う。
作品が楽しめないバトルは辛いものだが、
面白い作品の多いバトルも推薦作を選ぶのが一苦労だ。
しかし、良性の苦労なのでよしとする。
さて、ざっと目次を見直して、現在の気分で候補に上げたいのは
『女将のことで』『名なし』『顔のない世界』『迎え火』『傷』『猫の居ない風景』
6作品もある。多すぎである。
どれもタイトルを見ただけで鮮明に話を思い出せるほどで、
つまりはそれだけ印象に残っているということである。
この中から推薦作一作品をどうやって選べばいいというのか。
……というわけで選んだ作品は
『顔のない世界』
である。風刺が効いていて、文章も注意深く練られているように思う。
最終段が無いほうが良いとの意見もあるようだが、
これがなければ話が平坦になってしまったことだろう。
「賛否が分かれるだろう」と自覚しつつ、あえてこの手法を選んだ作者の勇気に
拍手を送りたいと思う。
『島』[比良木直太さん]を推す。このタイプのショートショートはデテールにコればコるほどオチが活きてくると思うが、反面、伏線でもあるからオチがバレる危険も増す。この作品は、そのあたりの綱渡りをたくみにこなし、かつ着実にオチへと収束してゆくかたちで書けていると思った。かなり完成されたショートショートだ。オチの見せかたのくだらないヒネリもまた一興。難をいうなら漢数字と算用数字の無意味であろう混用ぐらい。
ほか、おもしろかったのは、『雨の声』[うなぎさん]で、迫力のある描写で読ませる正統ホラーだが、字数オーバーではしょうがない。『一休み、迷惑候』[マーマレード=ジャム]は、しっちゃかめっちゃかな文章に好ききらいがあろうけれども、言葉とリズムで読ませる言葉あそびの好作で、とにかく楽しい一品。以上。
うなぎさんの文体は読みやすくていい。
ネタもなんと言うか、季節もの? で、あぁ。見習うべきところは多いなと……。
惜しむらくは12の文字数オーバー。そのくらいなら適当に削っても、完成度は落ちないと思うのですが、そうでもないのかな?
思わずびくりとしてしまったので。力のある文章だと思います。
今回割とすんなり決まりました。この方の今までの作品の中で一番まとまっていたのではないでしょうか。面白かったです。
次点はキリハラさんの「あたま手術」。これもこの方の作品の中で一番の出来だと思います。オチが欲しかった気もしますがどうだろう。このままの方が投げっぱなしで面白いのかな。
あとユキコモモさんの「名なし」。
もう滅茶苦茶恐かった。うわ、なに、なんなの、なんなのですか? なにがおこってるんですか?
解らないけどこわーい。
で、後で他の方の感想を見ました。
ああ、何だ。そのオチで良かったのか。
と何だかネタバレで返って拍子抜けはしました。
でも文章が端正で、キレがある。本当にこの方は文章がうまいな、と思いました。
で、個人的には小説としてはこの作品は失敗作(失礼)ですけれど、文章が適切適正で、かつもの凄く恐かった、という評価になりました。今回、何作かホラーがあったみたいですけど(自分は他の方の感想を読むまで気づきませんでしたが)それよりずっと恐かったです。
エッセイとして読んだ方が面白かったかも。ああでもそれじゃ駄目なのか。
難しいな、ううむ。
という訳で、話題作に参加させていただきました。どうも。
1000字小説というのは、本当に難しいジャンルです。自分の駄文を見て、つくづくそう思います。限られた字数の中で、これほど見事な作品を書けるのはさとうさんの「技」なのでしょう。『Promise Land』は、オー・ヘンリーを思わせる味わいがあって好きです。
他に印象に残った作品は『彼女』です。実話なのかもしれませんね、コレ。どん底ともいえる苛酷な状況の中で精一杯生きる少女と、主人公との悲恋が胸に迫ります。こうした社会派的な作品が、個人的にはもっと読みたいです。
『時計男』、『迎え火』、『孔雀』、『猫の居ない風景』――この辺りが印象に残ったのですが、「これ!」という一作品はなかったような・・・
インパクトなら『時計男』、構成なら『迎え火』、好みなら『猫の居ない風景』かなとも思いましたが、やはり『孔雀』に一票入れます。場面ゞを千字に無理やり詰め込んだという気もしないではなかったのですが、不思議ときれいにまとまっているのは表現が巧いからなのでしょうね。
この作品を読んで、ディズニーランドの中での孤独を書いたあの作品が蘇ってきた。以前もこの作者の作品に一票投じた記憶がある。私の求める作風と香りがするのである。作者の動じない世界が存在している。その他で好きな作品は3作品。
安心して読めました。
ノスタルジーで「赤い自転車」(伊勢湊さん)、セピアカラーで「Promise Land」(さとう啓介さん)、ワンパターンのもやもや感で「女将のことで」(アナトー・シキソさん)
以上。