第24回1000字小説バトル結果
第24回1000字バトルチャンピオンは、
サーモンピンク2回転さん作の『Go on the Road』に決定しました。
おめでとうございます!
票を得た方もそうでなかった方も、次回でまた頑張ってくださいね。
感想票をお寄せいただいた読者の皆様、ありがとうございました。
今後ともQBOOKSをご支援いただけますよう、よろしくお願いいたします。
- Go on the Road(サーモンピンク2回転)
- 今回はこれという作品が無くて、一つに絞るのはかなり迷った。今でも迷っている。
いわゆる常連さんの作品はやはり安定して巧いなあと思う。紺詠志さんの『ポンコツ先生とキジ』作者の意図とは異なるのかも知れないが、この人のロボットものを読むと私はいつも人間の世界を照らし合わせてしまう。なぜか高校時代の物理の先生を思いだした。
ヒモロギさんの『河童の風呂のぞき』は、この話の続きが読みたいような感じだった。いや、短編はその余韻がいいとは百も承知だが。
その他、逢澤透明さん、一之江さん、越冬こあらさんの作品にも注目したが、なぜか気になるのが表題作だった。こんな無茶な作品はないぜ、と思うのだけれども、何というか、徹底してチープな感じが逆に存在感を出している。お話がまた、いかにもロシア、という雰囲気で、これは安っぽい絵具で塗られたしかし一幅の絵である。
- 今回のバトルは久々に通して読んでいて楽しかったです。
が、実力ある常連投稿者の作品達が微妙な面白さを展開しつつも、今一つパンチがたりない(それはそれで良かったのですが)ように感じたのに対し、この作品だけが唯一、明確な「物語としての恰好良さ」を打ち出していたと思います。冒頭から謎を散りばめながらも物語を進め、最後には「ひとつの場面」として仕上げる構成の妙にしびれました。
この作品はもっと評価されるべきだと思う(読者の中には「初めての投稿者」=「小説書きの初心者」であるとの先入見が無いだろうか?)。作者の次の作品にも期待してます。
- 今回は面白いのとそうでないのとの差がハッキリ出ている感じがします。その中でも気にいったのは、『妖怪女房』『Go on the Road』『河童の風呂のぞき』の3点です。もちろんそのほかにも気にいった作品はありましたが、この3作品が私の中では特に印象深かったです。不思議な雰囲気をかもし出している作品だからかも知れません。この中から選ぶのは私には難しく、出来れば3人に投票したいところですが、誰かひとりという事で、今回は不思議な雰囲気の中にも何か人を惹きつける魅力を持ったサーモンピンク2回転さんにします。
- 心の芯を揺さぶる不可思議な力が、彼の手に鮮やかに甦った。エレガント。旅芸人サーモンピンク2回転。芸は確かだが喧嘩に弱い。
- サーモンピンク2回転さんのGo on the Roadを推します。旨いが一番。
こんな長い名前を1000字の人物に与えてしまうあたりの余裕に、いろいろ端的にあらわれております。
- 河童の風呂のぞき(ヒモロギ)
- 作品中では、最も独自の世界を構築しきっていたように感じられました。そして、その世界にこちらを引っ張って行く力を強く感じました。
「Go on the Road」は、まとまっていましたが、舌足らずな印象をうけました。
「ポンコツ先生とキジ」は、良く作りこまれていますが、いまいち引き込んでくれる展開が足りないように感じました。
「雨の向こうに」は、小ぶりにまとまってしまったように思えます。もっと重い感じにするか、詩的な雰囲気を盛り上げるか、決めてほしいと感じました。
「∞の憂鬱」は、きれいにまとまっていますが、最初の仕掛けが最後まで繰り返す印象を受けました。また、どこかで読んだことがあるようにも感じました。
「ヘンシン」は、設定といい、視点といい、うまいと感じました。ただ、主人公の感じた気持ち悪さをもっとこちらにも感じさせてほしかった。「C型」「日曜の朝、カクガリ。」は、出来上がった作品ですが、これも引っ張り込んでくれるものが足りないように思えました。
- 今回もバラエティーにあふれた作品が多く、ジャンルもバラバラなので、どれも横一線で評価するのが非常に辛かったです。良い作品がたくさんあったにもかかわらず、1票だけしか入れならないのがもどかしい。
ということで、個人的な趣味で最終的に残ったのがサーモンピンク2回転さんの「Go on the Road」と、ヒモロギさんの「河童の風呂のぞき」です。この2作品の特徴は、何と言っても作者独自の世界観が描かれていることです。特に「Go on the Road」は、1000字に収まらないスケール感があり、ぜひ続きを読んでみたいなんて気分にさせます。「河童の風呂のぞき」も和風な世界と個性的なキャラクターがおもしろく、途中に入る河童の逸話もリアリティーがあり、大変良かったと思います。
で、悩みに悩んだ結果、ヒモロギさんの「河童の風呂のぞき」を推します。よく読むと、ヒモロギさんの方が、文章の丁寧さを感じられたのがその理由です。しかし、翻ってサーモンピンク2回転さんの所々説明が抜け落ちたような文章も好きなんですが…。ああ、ごめんなさい。サーモンさん!
- 雰囲気の良さで、これを推します。
個人的に、主人公(というか視点の主)は好意のもてる人間
であってほしい、という気持ちがあり、その点で
この作品の主人公からは優しい性格が読み取れてよかったです。
- 「いま」が大事。
語られる過去ではなく「いま」のあれこれから透けて見える過去が面白い。
般若子ちゃんとそれを取り巻く「いま」を正確に切り取ったならばこういう話になるのだろう。般若子に至る経緯が説明的に語られていないから読み手は想像力をかきたてられる。
「般若子」というのはひとつのアイデアだが、それにとらわれない冷静な語り口がいい。多くの作品は作家がひねり出したアイデアを扱いかねているような文体に陥っている。
次点は『ポンコツ先生とキジ』。
牧歌的な山村風景とロボット教師との取り合わせが楽しい。
ただ、言葉遊びとはいえ「ポンコツ」を連呼するのが少々鬱陶しかった。タイトルも「ポンコツ」なのだし、状況を判断すれば「ポンコツ」なのは分かるのだし。
- オーディション(のぼりん)
- オチのブラックさが印象に残りました。
- 推理小説のような、ブラックユ−モアのような感じが好きです。
1000と言う文字数の中で、どう言うオチなのかを考えさせる、そんな作品だと思いました。
- 五月雨のリニア(さとう啓介)
- にわか雨が去った後のようなさわやかな文章が明るい未来を予感させ、気持ちのよい読後感が味わえました。文中の「僕の原点」についてもっと知りたいと思いましたが、今のままでも十分、名作だと思います。
サトゥさん作の「そば」も良かったです。そばを食べるまでの流れが心地よく、文章に引き込まれました。(おそらく遠距離恋愛の)彼女と僕の関係がもう少し詳しく書かれていたら、僕の空腹の切実さに共感できたのではと残念に思います。
- 今回は、ずばぬけた〜〜っていう作品がなかったように感じられます。
で、この作品の推薦理由は、ずばり。文体の美しさ。です。
くだくだしくは、述べませんが、序盤の清涼感、中盤の親父の影、後半は・・
やや惜しまれます。
- 雨の向うに(逢澤透明)
- 1000字読後感の個人出稿が盛り上がりを見せる昨今にあって多少
食傷ぎみではありますが、私も感想を述べてみたいと思います。
自分の作品も含めて30作品もあるのに、なかなか小説と呼べるに
相応しい作品に出会えなかったというのが読後の正直な感想です。
何故か、常連の方を含め質の低下を嘆いておられる諸兄諸氏のお
気持もわかる様な気がします。皆さんだれもが自分なりの思い入
れを持って書かれていることは充分に拝察できるのですが何か物
足らない気がするのです。
確かに1000字で構成、主題、ストーリー性、展開、表現力、余韻
などすべてをクリアーする様な作品を書く事自体が困難なことだと
思います。しかし過去の作品群にはレベルの高いのが多数見受けら
れました。1000字規定なのに500〜600字をもって完成とする向
きは到底理解出来ない。
そんな中にあって私の推薦作品は次の5作品です。私にとって小説
の作風が感じられる作品です。一之江さんの「ピータースィート」、
さとう啓介さんの「五月雨のリニア」、HIKAさんの「チョコレー
ト色の夢」、伊勢さんの「父さんのカメラ」、逢澤透明さんの「雨
の向うに」。
それで、今回も結構迷ったのですが、「雨の向うに」を推挙させて
いただきます。
- 1000字でいつも思うことだけど「文学として成り立っていない」ものって多いですよね。字数少ないからなんでしょうけど(そういう意見がなんか掲示板でありましたよね)独白文のようなものが多いです。決してそういうのが好きとか嫌いとか、良いとか悪いとかを語っているわけではないんですが、今回の作品群の中で 逢澤透明さんの「雨の向こうに」は良く1000字でここまで風景(ストーリーが紡ぎ出す雰囲気)が書き込めたなーと思って羨ましくなったので推薦させていただきます。
- 蛇(るるるぶ☆どっぐちゃん)
- 特に目立っていいと感じる作品が見当たらなかった様に思う。
「Go on the Road」「或る伝説の勇者」
「蛇」「ビタースイート」
絞り込んだ4作品から今回は「蛇」を推薦します。
- Entry29 「C型」越冬こあらさんと、どちらにしようか迷って、「蛇」にしました。内容よりも表現に魅力があったからです。「C型」も非常に面白い作品でしたが、拡げた風呂敷を畳み切れていないもどかしさがありました。
- ビタースイート(一之江)
- 自分の弟とは絶対にあり得ない関係で、少々うらやましく思いました。おしゃれで切なく、よくまとまっていると思います。
- ずるい! と思わず言いたくなってしまう。
ぜんぜんずるくなんてないのですが。
やられました。参りました。
こういうのには弱いです。僕は。
次点はヒモロギさん。久しぶりですね。
この方の作品は好きです。
1000字とは思えないような深みがあって。
谷本みゆきさんと赤坂麻実さんは、今後に期待です。(偉そうですけど)
- へーぼんな日(渡瀬ミウ)
- 全感想を読んでいて、常連さんの作品はおおむね感想が底上げに
なっているのが気になった。いい悪いは別にして、ネームバリュー
で感想が底上げになるということはあるようだ。別にそれはそれで
いい。ただ僕は、常連さんといわれる方々の作品に関しては、「ど
うってことないぜ」と思ったし、全感想で常連さんの作品を評価さ
れていた方には、「それならこの作品も評価しないとおかしいんじ
ゃないの」と、不満を感じることが相当にあった。
それから主題とか筋とか「てにをは」とかを問題にしすぎなんじ
ゃないか。個人の感性で「この作品は好きだ」「これは嫌いだ」と
いうのは感想としてとても尊重できるし、そういう素直な感想は作
者にとってもありがたいはずだ。しかし、「小説とはこれこれこう
で」というように振舞って感想を書こうとするのなら、主題主義者
みたいに振舞うのはよしたほうがいい。そんな枠組みで正当な評価
ができるわけがない。よほど研鑚をつまない限り、文芸評論なんて
できるわけがないんだから、かっこつけて世界観がどうとかいうの
はよしたほうがいいぜ。そんなつまらん枠組みなんかとっぱらって
もっと素直に感想を書きなよ。面白いと思ったらそのとおりに書け
ばいい。俺ならこう書くなあと思ったらそれも書いたらいい。とに
かくさあ、この枠組みに収まらないからこの作品はだめなんだみた
いな評価の仕方はよしなよ。小説ってのは道徳の教科書でも新聞記
事でもないんだからさ、ウンコについて書いてる小説だからダメっ
ていうんじゃなくてさ、ウンコについての表現にきらめきがあれば
そこは評価しなきゃおかしいぜっていう、そういうことだと思うん
だけどなあ。
ということで、『へーぼんな日』、面白かった。この作品は全感
想では文章について云々言われていて「だからだめなんだ」という
評価を下されていたが、「だからいいんじゃねえの」と俺は思った。
- チョコレート色の夢(かおり)
- 香りってけっこう小説において有用な武器だと思っています。
文字で与えられた情報によって湧き上がるイメージ。
>「これはチョコレートフレーバーを使っているんだ」
別れた男をタバコの匂いでふっと思い出す。いいですねぇ。ぐっときます。
チョコレートフレーバーのタバコを持ってきた時点で、この作品は勝ちですね。
自分の中の引出しにはそんなものないですもの。悔しいほど素晴らしい。
文章もよかったです。女性の一人称にしたのがとてもよい。
彼女のつかの間によみがえった記憶に追体験しているようで、読んでいる自分も胸が熱く温かいきもちになりました。
- ポンコツ先生とキジ(紺詠志)
- 或る伝説の勇者(羽那沖権八)
- 今回、好みの作品が少なかったですが、これは単純に面白かったです。
- C型(越冬こあら)
- 極度に寓意的ですが、常々感じる現実味のある話です。
人を分類し当てはまらないものを排除する。自分たちが永久不変の正義であると勘違いして。
多分、別の時代の別の場所では、C型が当たり前であったりするのでしょう。
っつーか、笑えたので一票。

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