第13回1000字小説バトル結果
第13回作品受け付け───3月5日〜3月29日
作品発表──────── 4月3日〜
人気投票受付け───── 4月3日〜4月29日
結果発表──────── 4月31日
第13回1000字バトルチャンピオン
一之江さん作『遠足』に決定です。
一之江さん、おめでとうございます!!
あと一歩で輝くグランドチャンピオン!!
●遠足(一之江)
- 背景描写が細やかだったこと。短い文章の中に人物の心理が浮きあがって広がり、最後の締めが自然だったので。
- 子供にはわからないでしょう。想像力を捨ててしまった大人にもわからないでしょう。「ゴミ」はいやおうなしに出てしまうものです。どんなに出さないように努力しても出てしまうものです。想像力を燃えるゴミの日に出した人にはそれなりに生きる道があるのかもしれません。想像力を燃えないゴミの日に出してしまった人は置き去りにされたまま不可解な現実を生きなくてはなりません。資源ゴミは月に2回くらいしか収集に来てくれません。
- 一之江さんの『遠足』を推します。今回はレベルの高い作品が多かったと思います。悩みましたが、結局、文章の安定感と、何気ない描写の効果で一之江さんの作品を残しました。冒頭、少女の時代のような企みへのささやかな?熱意と、ごみ袋というアイテムの対比が印象的でした。最後は二人でごみ出しに行ってしまうわけですが、波瀾の予感というよりは、歪み始めた日常を整える補償のように思いました。健全です。日常と普段呼ばれている生活に限って、ストレスを蓄積させていく事が多いのはなぜなんでしょう。
- 毎度のことだが、「にくい」といった感じです。一歩間違うとあざとくなる手法をぎりぎりのところで免れている。すでに、できあがってしまった世界を感じるが、これは 1000字という短い世界でのことなのだろうか。大長編になった場合にはどうなるのだろうか。楽しみではある。
●呼ばれる(小川千栄子)
- 陰鬱な世界観がステキ。こういうお話がもっと読みたいです♪
- 背筋がぞくぞくするような怖さがよかったです。
- いろいろ想像してしまって怖かったです。でもおもしろい作品でした。
●大阪ロボット芸人・おスミ(蛮人S)
- 特に目を惹かれたのは、『道化娘にナンマイダ』『雛』『アジフライ』『大阪ロボット芸人・おスミ』。妙なリアリティのある馬鹿馬鹿しいアイデアで『大阪ロボット芸人・おスミ』に一票です。関西人なら「ツッコミファービー」とか「パチパチパンチアイボ」とか作りそうですもんね(偏見)。
- 3回読み直して見ましたが、「アジフライ」「遠足」「同胞」「大阪ロボット…」「桜一日」の5本に絞りました。でも絞ったら、蛮人Sさんと更羽さん以外は、チャンピオン経験者じゃないですか。でも今回も難しいですねぇ。きっとこの5作品「ひょっとしたら私のも含めると6作品(笑)」の中からチャンピオンが出ると信じている私ですが、チャンピオンはもっと秀でて欲しいので、チャンピオン未経験の二人の中から選ばせて頂きます。しっとりした女性心理とでもいう作品と、からっとして愉快な作品のどちらかを取るとしたら、私は笑いを取ってしまいますので、蛮人Sさんの「大阪…」に一票を投じます。
●桜一日(更羽)
- 今回は全体的に楽しめました。いいのはたくさんありましたが、最後まで悩んだのが『桜一日』と『ストレス』(太郎丸さん作)です。何故この二つを比べなきゃいけないんだろうと思いつつも、まあ、そういうルールだからしょうがなく、涙を飲んで一方を選ぶってことで、『桜一日』。個人的にはショートショート的な作風のものの台頭を願っているのですが、やっぱりいいものはいいです。でも『ストレス』良かったです。
- 更羽さんの『桜一日』に一票です。
●同胞(鮭二)
- 今回は全体的にアイデアが面白く、どの作品も意外と楽しめるものが多かったです。中でも、完成度と文章の面白さで他より一歩ぬきんでていると思いますのでこの作品を推します。
- 『同胞』。無駄がない。会話が上手い。作者が「小説」をよく知っている、と思いました。感服です。一票投じます。他に印象に残ったのは『ワールドカップ』(雨耳さん作)。セリフの選び方が良かった。登場人物が生きたセリフをひとつでも喋ると、その作品はそれだけで、ぐんと魅力を上げると思った。もうひとつ、気になったのが『肉じゃが』(ナナキマキさん作)。この主人公は、もしかして相当小さいー小学生くらいだったりしないかな、と思いました。深読みでしょうか? それとも自明でしょうか?「料理人にでもなるのか?」という父親のセリフと最後の“僕が大人になるまで”という箇所くらいしかそう思う理由をあげられないのですが。もし、小学生の男の子がいつか家を出る日のために一心に肉じゃがを作りつづけてるのだとしたら、おかしみがあってかわいいですね。しかもコンロに背が届かないから、踏み台で(想像)。そう思って読むと、この作品は一票入れたい作品です。ただ、主人公を客観的にうかがえるような、決定的な一語がほしかった。
●医療の発展(羽那沖権八)
- 全ての作品を読ませていただいたが、大半の作品が一場面を切り取ったものでしかなく、しかも切り取り方が曖昧なものが多い。正直云って、それが小説と呼べるものなのかどうか疑問である。誤字脱字がない、起承転結がある、それは当然のマナーであり、技術以前の問題なのだが、最大の問題は字数の制限に囚われ、句読点があるべき場所を無理に打たない作品があることだろう。また小道具やシチュエイションに頼りすぎて、構成がない作品はもう一度、テーマを明確に見つめ直した方が良いのではないか。ただ書くだけならば、近所の小学生にだって出来るのだから。その点、『医療の発展』は、一場面の切り取り方が簡潔であり、難しくなりがちなテーマでありながら、軽妙な会話で展開させ、誰しもが気分的に納得出来るオチを最後に一言で用意している。文章的な技術という点よりも、この作者のテーマ自体の選び方、ワン・シチュエイションの切り取り方のセンスを誉めるべきか。極めて映像的な文章であり、キャラクターの個性も分りやすい。1000文字のワン・シチュエイション・コメディとしては好例だ。シチュエイションとしての「遺伝子治療」、小道具としての「豚」のどちらも、このオチにはなくてはならない要素だろう。これが他の参加者には見られなかった部分であり、推薦理由だ。
●Rock'n Roll is Dead(ABSOLUTE "AZ" ZERO)
- 文字が揃っているのが斬新だった。これを読んだとき、いつにない恐怖を感じて戦慄した。
●ごみむし(俊)
- 私がこれから挙げるものは、文学的に優れているとか、話の展開がおもしろいからだとか、というのではなく、この作者の作品を、評価しつつ、また、別の作品も読んでみたいと、期待感を膨らませつつ、嬉しさを感じた作品である。
『鉄』仏さん作
特別に強く惹かれるという作品ではないが、鉄臭さが充満している中での、それのみで終わらない丁寧な描写に好感が持てた。それはおそらく、作者が、登場人物達の気持ちを、私にとって、押し付けがましく描いていないせいであり、話を読み進む上で、理解しやすいものだからだと言えよう。ただ、ラストシーンで、なんじゃこりゃ、と思ってしまった。
『Rock'n Roll Is Dead.』ABSOLUTE "AZ" ZEROさん作
この作品に関しては、私として複雑で、私はぐいぐいと読んでいって、途中の展開は予想できてもおかしくなかったのだが、あれっ、やられた、とびっくりしてしまった、それは私が眠い頭で読んでいたからというものではなく、作品のテンションに惹きこまれたからだと思う。ただ、残念だったのは、そのテンションが一定で、もう少し波をつけることができたのではないだろうか、でも、次回作に期待。それと、最後の『何かが終わってゆく。』というのは、私は好きではない。
『遠足』一之江さん作
この作品は日常の風景を描いたものであるが、私自身、こういう描きかたをしているものは基本的に好きである。1000文字ではなく、もっと長い文になった場合、描き方に変化が表われるのかどうか気になるところで、ちょっとこの作者の別の作品を読んでみたくなった。でも、読者としては、更に、更に、と作者が精進なされることを望むところである。
『病人対談』あきらさん作
ストーリーは、はっきり申し上げておもしろくない、ひとごとではないが。とすると、どこが気になったかというと、主人公が語っている形式でしょ、そこなんです、私もいずれは、語りものを書いてみたいという理由だけで、名前を挙げさせていただきました。
『大阪ロボット芸人・おスミ』蛮人Sさん作
かなり気に入ってます、率直に、面白過ぎます。テンポが良くて、何も考えなくても読めて、当然、肩なんかも凝らない。文句を一つぐらい言っておかないといけないような気がしないでもないが、私には、言えない、こういう作品に対して、どういえばいいのだろうか。
『桜一日』更羽さん作
この作品の雰囲気はとても好きなのですが、ちょっと読みづらかったです。桜、女、男、こんがらがって、んんっ、読み返して、ああ、桜ね、という具合に、主語がちょっと分かりづらかったです。これは、私の読む力が足りないのかもしれない。描写に関しては、感心して、私自身、見習うところ多し、と思いました。
『ごみむし』俊さん作
なんだか、濃い、作品である。どうなんだろうか、私はここまで、他の人がどう作品を見ているのか気にしていなかったが、この作品に関しては別で、気になる。暗い作品ではあるが、非常にいいのではないだろうか。作者は古い、いわゆる名作とよばれるものをしっかりと読んでいるような気がする、多分。
以上が、私が気になる作品である。
投票は非常に迷うところではあるが、『ごみむし』に、一票を投じたい。理由は最も気になるからで、次の作品を読んでみたいという私の願望があるからに他ならない。
次点は、『大阪ロボット芸人・おスミ』。
●ボイジャー(佐藤ゆーき)
- 印象に残ったのが『ボイジャー』『Rock'n Roll Is Dead.』『満月』『桜一日』。特に『Rock'n Roll Is Dead.』は斬新で面白いと思ったのですが小説という観点でみて『ボイジャー』を推します。
●鉄(仏)
- 限られた文字数のなかに、確固たる一つの世界があり、印象的でした。このつづきを読みたいと思いました。
●雨の日の過ごし方(ニコ)
- どうにもならない吸引力を感じます。誤字等細かい点についての指摘などは、もはや無意味だと思わせる文章の力強さを感じます。力強い、いままさにそこにある世界という感じ。ストーリーや手法のアイデアなどどうでもいい、本来小説を読む楽しみというのは、こういう世界を堪能できることにあるのだということを、再認識させてくれる作品だと思います。
●道化娘にナンマイダ(大森 柔)
- いきなり事件の渦中から始まり、事件について何の説明も無く、ただただ形式だけにこだわり続けて生きていく家族に感動しました。現実には決して起こりえないと思いましたが、現実の世界も角度を変えてみると、こんなものかもしれません。と考えるとたいへん含蓄のある作品に思えてきますが、投票した理由は、単に面白かったからです。

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